研究課題
一般研究(A)
以下の成果を得た。1.新しいカドヘリンを探索し、Rカドヘリンを同定した。このカドヘリンは主として神経系で発現され、発生過程ではNカドヘリンよりやや遅れて出現し、また、異なる分布を示した。さらに、Nカドヘリンとは結合し得るが、同じ分子同士の結合の方が強いことが分かった。2.PCR法により、脳由来のmRNAを鋳型として、多数のカドヘリンのcDNA断片を得ることが出来た。その中の2つをクロ-ニングし、その塩基配列、アミノ酸配列を調べた結果、これまでに同定されていたカドヘリンとは、やや異なる特徴があった。すなわちカドヘリン分子群は、サブファミリ-の分類されることが明らかになった。3.ショウジョウバエのカドヘリンの検出をPCR法により試み、少なくとも4種類の異なるcDNAのクロ-ンを分離することができた。また、カドヘリン結合タンパク質の1つαカテニンについて、ショウジョウバエの相同分子を分離、同定することに成功した。4.カドヘリンの形態形成上の役割を明らかにするために、NカドヘリンのmRNAをカエル受精卵に注入し、その過剰発現の効果を調べた。その結果、Nカドヘリンの過剰発現は、上皮の肥厚、細胞集団の分離などを引き起こし、また、その異所的発現は、形態形成運動に影響を与えた。この結果は、カドヘリンの制御された発現が、形態形成にとって重要であることを示した。5.カドヘリンに結合するタンパク質カテニンが、カドヘリンの機能に必須であることを示した。また、αカテニンをクロ-ニングし、これがヴィンキュリンに似ていることを明らかにした。
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