研究分担者 |
藤正 巌 (藤正 巖) 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30010028)
米沢 卓実 (米澤 卓実) 東京大学, 医学部, 助手 (50221677)
鎮西 恒雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (20197643)
満渕 邦彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (50192349)
阿倍 裕輔 (阿部 裕輔) 東京大学, 医学部, 助手 (90193010)
渥美 和彦 東京大学, 医学部, 教授 (70009877)
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配分額 *注記 |
30,100千円 (直接経費: 30,100千円)
1991年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1990年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1989年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1988年度: 21,500千円 (直接経費: 21,500千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,完全人工心臓の駆動時に発生する種々の病態生理の発生機構を解明し,それらを解決すると共に,その最大の要因となっている人工心臓の制御に関して生体の生理機構を加味した最適の制御方法を確立することである。この4年間に得た主な成果を以下に記す。 1血液ポンプの抗血栓性を改善するために,Jellyfish弁と称する新しい高分子膜性人工弁を開発した。これによって抗血栓性は著しく改善されると共に,種々の病態の著しい改善を見た。これはこの弁の種々の特性によるものと考えられ,病態生理の機構の解明の一つの手掛をつかむと共に,国際的にも注目され多くの共同研究が開始された。 2病態生理機構の解明としてはこの他に,手術時の上行大動脈切断によって強度な神経反射が生じることをヤギで見い出した。また,心房性利尿ホルモン(ANP)の動態についても詳細な研究を行い,ANPの分泌量そのものは人工心臓装着によっても低下しないが,ANPに対する循環系の感受性が低下していることを見出した。さらに人工心臓装着後の腎機能については,腎血流量,糸球体濾過量,尿量などが低下するがその原因が中心静脈圧の上昇によるものであるという確証をつかんだ。血液ポンプ内の血栓の発生機構についても,材料表面の吸着タンパクを種々に同定することにより,抗血栓性発現機序に関する多くの知見を得た。 3制御に関しては,完全右心バイパスや上下半身の分離循環など独自の動物モデルを作成し,生体の制御機構の解明を行い,自然心臓や循環系が何を指標に制御しているかということに関し新しい知見を得た。これらに基づいて,末梢抵抗の変化を人工心臓の拍出量にフィ-ドバックするという新しい自動制御方法を考案し,長期の実験を行った結果,極めて良好な循環動態が得られ,病態生理の改善も見られた。
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