研究課題/領域番号 |
63440052
|
研究種目 |
一般研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
胸部外科学
|
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
井上 正 慶應義塾大学, 医学部外科, 教授 (30050991)
|
研究分担者 |
井関 治和 慶應義塾大学, 医学部外科, 助手 (00212960)
鈴木 孝明 慶應義塾大学, 医学部外科, 助手 (10196834)
南雲 正士 慶應義塾大学, 医学部外科, 助手 (70198365)
四津 良平 慶應義塾大学, 医学部外科, 講師 (30129738)
相馬 康宏 慶應義塾大学, 医学部外科, 講師 (40051437)
三角 隆彦 慶應義塾大学医学部, 外科, 助手 (20174013)
申 範圭 慶應義塾大学医学部, 外科, 助手 (50171062)
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1989年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1988年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
|
キーワード | 虚血心筋 / 再灌流傷害 / 多形核白血球活性 / 活性酸素 / 血管内皮細胞 / 微小循環 / 心筋再灌流障害 / 多核白血球 / ケミルミネッセンス法 / TBA法 |
研究概要 |
心臓手術において、再灌流傷害が指摘されて久しいが、近年、再灌流傷害への活性酸素の関与が指摘されている。しかし、その機序は明らかでない。本実験では多形核白血球のrespiratory burst時に発生する活性酸素に注目し再灌流傷害への関与を検討することにより再灌流傷害の機序解明を試みた。まず、成人人工心肺使用症例において術中の多形核白血球活性変化を化学発光法を用い測定した。この結果多形核白血球活性は再灌流30分後には1.82±0.25(p<0.05)と有意の上昇を示した。このことから、多形核白血球の関与が示唆されたので、雑種成犬による交差灌流モデルを作成し、多形核白血球除去による心筋保護効果を検討した。白血球除去群では心機能の良好な回復を認めたほか心筋過酸化脂質遊離量は再灌流10分以降で対照群に比して著明な減少を認めた。酵素学的にも心筋CPKーMB遊離量は白血球除去群で有意に低価を認めた。電子顕微鏡的検討によると、白血球除去群では微小血管周囲の疎開化が著明であり血管内皮細胞への血小板粘着および偽足発生、内皮細胞傷害が著明に認められた。また、心筋傷害も著明であった。これに対して、白血球除去群では血管内皮細胞傷害及び心筋傷害が軽度であった。追加実験として活性酸素除去剤であるsuperoxide dismutaseを心停止中に使用した群で電子顕微鏡的検討を加えたところ白血球除去群と同程度の血管内皮傷害と心筋傷害を示した。しかし血管内皮細胞表面の傷害は最も軽度であった。以上から、(1)再灌流傷害に多形核白血球が関与しており、(2)その誘因として再灌流直後の血管内皮細胞表面に於ける活性酸素由来の傷害が示唆された。今後、再灌流傷害の更なる機序解明のためには血管内皮細胞における変化を検討する必要があると思われる。
|