配分額 *注記 |
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1988年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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研究概要 |
炎症状態に陥った歯髄は,歯科臨床において頻繁に認められる病態である。本研究は,この炎症歯髄についてその重要な徴候である痛みを直接の解析対象とした機能面からの様々の検索を行い,以下の結論を得た。 1.炎症歯髄に関する中枢神経系における神経生理学的研究では,三又神経系と頸髄ニュ-ロンの関係を解析し,下歯槽神経駆動性頸髄ニュ-ロンを同定し,このニュ-ロンに頸筋入力が収束していたことが判明した。 2.乳歯から永久歯への交換期の歯髄神経の機能特性の検索では,両者を支配する分岐神経線維が存在した。 3.局所麻酔薬中に含まれるepinephrineは,乳歯歯髄神経に対し酸素供給障害による麻酔作用を及ぼした。 4.炎症歯髄に関する未梢神経系の生理学的研究では,歯髄に強い刺激が加わると歯髄神経に過敏化が生じ,有髓神経線維の興奮性の増加・減少が生じ,その後無髄神経が興奮性を維持することにより歯髄炎独特の痛みが生じることが判明した。また,歯髄神経内にはこれらの両神経線維の中間型の神経線維の存在も示された。 炎症歯髄の除去療法後の歯周組織に分布する神経線維の反応性は,根管貼薬剤により大きく修飾された。 6.象牙質感覚過敏症の処置薬として期待されるシュウ酸カリウム溶液の歯髄組織に対する影響と,その臨床的有効性を検討したところ,この薬液は歯髄に無刺激性であり,臨床症状を非常に効果的に改善した。 7.歯の疾患が原因となり三又神経領域を中心として認められる連関痛について,臨床統計学的に調査した。原因歯の同定には慎重に行われる麻酔試験が,非常に効果的であることが判明した。 8.下顎大臼歯歯髄の麻酔方法としては,頬側に加えて舌側への麻酔薬投与が非常に効果的であった。
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