配分額 *注記 |
26,500千円 (直接経費: 26,500千円)
1991年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1990年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1989年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1988年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
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研究概要 |
本研究は、大腸菌が培地中の無機リン酸の濃度を感知して,そのシグナルを細胞質中で伝達し、リン酸レギュロンという一連の遺伝子群の発現調節を行って,リン酸濃度に適応する機構を分子レベルで解明しようとするものである. リン酸レギュロン遺伝子群の発現はPhoBの機能に依存し,その機能はphoRあるいはphoM(phoR欠損株で)に依存している(正の調節機構).その機構を解析するためphoBおよびphoR遺伝子産物を精製してin vitroの実験を行い,PhoR蛋白質が自己リン酸化の機能をもち、PhoBをリン酸化し,リン酸化したPhoBがリン酸レギュロン遺伝子のプロモ-タ領域に共通の塩基配列(リン酸ボックス)と結合して,転写酵素による転写を活性化することを証明した.また,PhoMも自己リン酸化し,PhoMーOrf2とPhoBをリン酸化すること(phoMからphoBへのcross talkの機構)も証明した.(PhoRはPhoMーOrf2のリン酸化しない).以上は,原核細胞でのtow component regulatory systemと,ヒスチジンのリン酸化によるシグナル伝達機構とが世界的に認められる因となった.リン酸レギュロンはphoR,pstSCABおよびphoUによって負の調節を受けている.pstSCAB遺伝子産物は無機リン酸能動輸送(PST)系を構成しており,PST系が培地中の無機リン酸の高濃度を感知してPhoUを介してそのシグナルをPhoRへの伝達し,PhoRのホスファタ-ゼ活性(PhoBの脱リン酸化)を活性化することが負の調節機構であると考えられる.さらに,ugpBAECQオペロン(snーグリセロ-ル3ーリン酸能動輸送系)の発現がPhoR/PhoBだけでなくcAMP/CRP複合体による二重の調節を受けることも証明した.また,phnオペロンは大腸菌B株では機能があるがKー12株では機能がない.phnオペロンの全塩基配列を解析し,Kー12株で機能がない原因がphnE遺伝子の中の8塩基対の繰り返し配列の回数に因ることを証明した.
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