研究概要 |
1.実験的に生起きさせた痛みのセルフ・コントロ-ルの研究 冷水刺激を用いて実験的に痛みを生起させ,痛みを行動論的にコントロ-ルする方略について総合的に研究した。その結果は次の通りである。(1)5℃の水温が実験痛研究に最適な条件である,(2)低水温では皮膚温が急激に低下し,否定的な感情を生起させるが,皮膚温の回復は早い,(3)痛みの感覚,皮膚温の回復過程には著しい個人差がある,(4)タイプA者はトラブル耐性が低いが,事態へ積極的に働きかけるという特性を持っている,(5)痛みをコントロ-ルする方略を分類しその特徴をまとめた,(6)課題への意図的注意集中,ディストラクション,自己制御,イメ-ジなどが痛みの制御法として有効である,(7)痛みに対する言語的説得によるセルフエフィカシ-の効果は明確ではない,(8)呼吸法,自律訓練法,リラクセ-ションも有望な方略である。 2.心臓血管系反応に及ぼすストレスの効果 血圧を指標として言語的なストレスを与えることでどのような影響が見られるかを実験的に検討した。その結果は次の通りである。(1)ストレスに対する個人の反応は個体差が大きいが,四つのグル-プにわけられる,(2)DBPがストレスを敏感に反映する指標である,(3)ストレス反応性の高いものはストレスの影響が加算される,(4)ストレス反応性の低いものは影響がすくなく回復が早い。
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