研究分担者 |
土屋 孝文 中京大学, 情報科学部, 助手 (10227431)
小笠原 秀美 中京大学, 情報科学部, 助手 (60204054)
樋口 一枝 中京大学, 情報科学部, 講師 (80228717)
篠塚 寛美 北海道大学, 文学部, 助教授 (30000615)
牧野 義隆 中京大学, 文学部, 助教授 (70065241)
森 孝行 中京大学, 文学部, 教授 (20065163)
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研究概要 |
本研究は人間の社会的相互作用の代表的場面である日常会話状況を中心として,広く社会的相互作用の持つ基本的意味を探るとともに,特に日本語会話文の持つ諸特性を明らかにして日常会話の計算機シミュレ-ションを行なおうとするものであった。 このうち日本語会話文の特性に関しては,まだ未開拓の部分が多く残されているとは言え,実験を含めて各種の解析を行なうことによってかなり多くの新知見を得ることができた。これらの成果を利用して日常会話システムNENEの1号機が現在試作中である。ただし,多くの成果を得たとはいえ,日本語会話文にはまだまだ未知の領域が多く残されており,上記試作機のカバ-できる会話文や会話状況の種類はきわめて限られたものにならざるを得ず,そのような限定つきでも試作機のパフォ-マンスには多くの問題が残るであろう。したがって本研究は今後とも長期にわたって継続されることが必要と考えられる。 その研究過程からさらに明らかになったことは,日常会話というもののあり方の解明にあたっては,社会的相互作用に従事する人間の認知科学的,社会心理学的側面の幅広い基礎研究が不可欠であるということである。そのような視点に立って,社会的相互作用の基盤に関する理論的モデル作り,社会的相互作用と対人認知に関する実験的研究,各種社会心理的要因が日常会話の発話ならびにその発話の認知に及ぼす影響に関しての理論的,実験的研究が行なわれた。 また,現在までわれわれが行なってきた人工知能的モデル化において取り残されてきた一つの重要課題である画像的世界理解の問題についても研究に着手することができた。言語的相互作用に画像情報を付加することは計算機システムの世界理解に今後大きく貢献することが期待できる。
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