研究概要 |
日本人の基礎的社会関係のひとつの表われである贈答行動は,「モノ」を媒介としたコミュニケ-ション行動であるとともに,社会の習俗・文化に強く規定された社会的制度でもあり,その社会の経済・社会構造と密接に関連している。このような視座に立ち,本研究は贈答行動とその変化についての実態調査を行ない,贈答行動・贈答文化の側面から社会関係・構造を明らかにし,贈答行動・文化/社会関係・構造に関する理論の構築を目的とするものである。 このため,90年度は89年度から実施している贈答行動実態調査を継続するとともに理論構築のための作業を行なった。この調査は(1)変化しつつある若者の贈答行動,(2)依然として伝統的な贈答の多い家庭の贈答行動の二つの実態を把握するため,以下の方法で実施された。 1)調査対象者は主として水戸市在住の学生およびその世帯である。 2)調査期間は89年8月より90年7月の一年間である。 3)学生用/世帯用ともに「贈ったもの」「贈られたもの」に分けてその都度記録するという日記式の調査形態を取る。 4)主たる調査項目は,贈った人/くれた人(性,年令,自分・世帯との関係),贈ったもの/贈られたもの(品名,換算金額,調達方法,包装,カ-ド・手紙の添付),贈答品の送受方法,贈答の目的・理由である。 5)記録票は学生用,世帯用ともに一ケ月ごとに回収する。 この調査終了後,研究会で検討したフォ-マットに従い,現在デ-タの計・分析が行なわれているところである。 なお,調査協力者の数は学生が77,世帯が35であり,デ-タ件数(贈答行動数)は学生が約1万,世帯が約6千である。
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