研究課題/領域番号 |
63460014
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
核・宇宙線・素粒子
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今井 憲一 京都大学, 理学部, 教授 (70025493)
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研究分担者 |
延与 秀人 京都大学, 理学部, 助手 (30213606)
政池 明 京都大学, 理学部, 教授 (40022587)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
1989年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1988年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | ハイペロン / エマルジヨン / ハイブリツド検出器 / Hダイバリオン / ハイパー核 / エマルジョン / ハイブリッド検出器 / ハイパ-核 / Hーダイバリオン |
研究概要 |
この研究は、昭和63年度に高エネルギー物理学研究所で行なわれた、E176-ハイブリツドエマルジヨン実験"H粒子とダブルハイパー核の探索"で得られたデータの解析を通じて、低エネルギーハイペロン原子核反応をしらべることを目的としている。この実験では、まず原子核乾板を標的としてK^-中間子ビームおよび電磁スペクトロメーターを用いて(K^-、K^+)反応および(K,pi^+)反応を測定した。これらのカウンターのデータをつかつて原子核乾板中の特定の事象を選び出すことによつて、原子核タ-ゲツトからの(K^-、K^+)反応そのもの、および(K^-、K^+)反応で生成されるΞ^-ハイペロンが原子核乾板中で停止し、Ξ^-原子を経由して原子核に吸収されるプロセスを観測した。この方法を低エネルギーハイペロン原子核反応の研究に応用したのはこの研究が世界で初めてであり、これまでの原子核乾板だけでの研究に比べて約100倍の統計でかつ信頼性のはるかに高いデータを得ることに成功した。 この研究で明らかになったことは、1)(K^-、K^+)反応からのH-ダイバリオンの生成断面積の上限を与えた。2)安定なダブルハイパー核の存在を軽い核と重い核両方について確認し、H-ダイバリオンの質量の下限(2200MeV/c^2)を与えた。3)Ξ^-原子およびΞ^-ハイパー核と考えられる事象を発見し、その束縛エネルギーを求めた。4)Ξ^-の生成確率からその核内平均自由工程をもとめ、Ξ^-N相互作用についての情報をはじめて与えた。5)核からの(K^-、K^+)反応およびΞ^-原子を経由して原子核に吸収されるプロセスについて、はじめて系統的なデータを得たこと、が上げられる。この研究は1980年代の高エネルギー研究所陽子シンクロトロンでの研究のハイライトと評価され、その研究成果はいまや国際的に広く知られるところとなつている。
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