研究課題/領域番号 |
63460039
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体地球物理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大中 康譽 東京大学, 地震研究所, 助教授 (00012956)
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研究分担者 |
山下 輝夫 東京大学, 地震研究所, 助教授 (10114696)
嶋本 利彦 東京大学, 地震研究所, 助教授 (20112170)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1989年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1988年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | すべり破壊過程 / 凝着応力 / 臨界すべり変位量 / 構成関係 / 準静的破壊 / 破壊核 / 準脆性・準延性領域 / マイロナイト / 構成則 / 破壊核形成 / 動的破壊伝播 / 脆性 / 準延性 / 破壊エネルギー / 臨界変位 / 破壊応力降下量 |
研究概要 |
クラック内面先端付近の局所的すべり破壊過程における凝着応力τpとすべり変位の構成関係が、常温下の花崗岩試料(脆性領域)を用いた実験から明かにされている。この関係はパラメタτp又は△τb(Breakdown Stress Drop)及びDo(臨界すべり変位量)によって規定される。準脆性、準延性領域における凝着応力と変位の間の構成関係も、脆性領域における関係と同様、基本的にはτp(又は△τb)とDoによって記述できる。△τbとDoが準脆性、準延性領域で温度とどのような関係にあるかを、温度150〜668℃、封圧力80〜250MPa下の花崗岩試料による実験デ-タを用いて調べ、次のような結果を得た。△τbはexp(Q/RT)(Q,R,定数;T,絶対温度)に比例し指数関数的に減少する。Dcは温度の上昇と共にexp(-Q/RT)に比例して増大する。以上の結果は岩石の流動則と調和する。更にこのことは、温度が十分高い領域では、△τbは無限小にDcは無限大にそれぞれなるべきことを示しているが、これは完全塑性領域を無限小の応力降下に無限大のすべり変位を必要とする極限と見ることに相当する。以上の結果を基にして、適当な温度・圧力勾配を仮定し、リソスフェア内部における△τb及びDo分布を見積もった。こうして見積もられた分布をサンアンドレアス断層に適用し、リンスフエア底部の塑性変形から派生した破壊核が、どのような条件下で準静的破壊を開始し、動的不安定を起こすかを理論的に考察した。また、動的不安定発生前に地表でどのような前兆的変形が観測され得るかを量的に調べた。室温下の岩塩の剪断実験によって、地震の起こる深さは塑性変形の卓越する準延性領域に及ぶべきこと、マイロナイトがこの準延性領域で形成される可能性の高いことが示された。本年度研究の主目的の一つであった高温下の岩塩の剪断変形挙動に関する実験は、加熱炉の構成が複雑でその設計と製作を依頼する業者を途中で変更せざるを得なかったため、遅れている。しかし、成果報告書には高温下の岩塩の成果を盛り込みたいと考えている。
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