研究概要 |
気流内に液体あるいは固体の微粒子が分散した二相系について,壁面近傍の境界層の構造と特微を明らかにする為に,衝撃波管実験と数値解析による研究調査を行った。壁面過熱のシ-ディングによる防止,冷却壁面上の凝縮液膜発生機構,蒸気成分の令却凝縮化による境界層制御など二相流微細構造の基礎的知見を与えるものである。 1.計測技術開発 衝撃波管の機能に適合した種々の測定法を開発した。イオンコ-ティングによる壁面非定常熱流速検出素子,微粒子通過数密度計数光学装置,半導体レ-ザによる平均粒子濃度計測装置,サブミクロン域液膜計測装置などを開発した。また,二相流微細の観察に,ルビ-レ-ザ干渉ホログラフィ法の開発を進めている。なお,微粒子散布法や蒸気・窒素気体混合気の発生法についても当初目的を達成した。 2.冷却壁面における蒸気成分凝縮と境界層構造 均質核凝縮モデルによる離散化液滴の成長・輸送と平板境界層解析,および連続濃度モデルによる二次元粘性流数値解析を行った。前者では,気相から液相への急速な密度増加過程が入り,これに対する数値処理をさらに検討しているが,凝縮初期の温度分布変化と液相膜の発達について実験的に承認し得る結果を得た。2次元曲面上のはく離流れについては,後者のモデルを適用し,蒸気相濃度の変化など液膜生前段階の流れ構造を得た。 3.固体微粒子浮遊気体の境界層構造 速度と温度の滑りがあるせん断流れ構造を調査した。離散粒子運動解析を含む数値解析と計測により,粒子群は壁面から浮上するように運動し,均一分散粒子が粗密な分布をとる過程を示した。壁面隣接域には清浄空気層が形成され,壁面熱伝達はこれによって決定されること,その外側で清浄層厚さの数十倍程度の位置に高濃度の微粒子層が形成されることなどを見いだし,均一二相流とは全く異なる境界層構造をとることが判った。
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