研究概要 |
近年,通信網の信頼性が重要な課題になってきている。通信網の信頼性を網の立場から向上させるには,回線障害や局障害の際に迂回が可能なようにすればよい。迂回経路が多くとれれば,それだけ広い範囲の障害に耐えることになる。一方,通信網の構成は,近年,非階層構成に向かいつつある。このような状況から,高信頼非階層通信網の設計法の開発が急務となっている。 信頼性を表す尺度はいろいろあるが,各局間の独立経路数が最も重要である。そこで,本研究では,所要独立経路数を確保した上で,網のコストを最小化するという方法で高信頼非階層通信網の設計を行った。具体的には,局位置,局間交流トラヒック,局間の所要独立経路数が与えられ,条件を満たすように,回線を設置する局間を見出だすということになる。本研究では,独立経路数の計算法及びコストの計算法として,グラフ理論を用い,行列計算で求める方法を考案した。これは,ス-パコンピュ-タ向きであり,計算時間が短いので,ヒュ-リスティックな網最適化アルゴリズムで使用することができる。この方法により,かなり大きな網でも設計することが可能となった。 本研究では,更に,このように設計した通信網をいかに制御するかという問題について検討を行った。呼単位に通信網を制御する動的経路選択などの問題は,非常に複雑な問題である。そこで,通信網制御の最適解の探索範囲を,解析的な単一式から,複数の規則の併記による記述にまで広げ,ファジ-システムを適用することを考えた。まず,シミュレ-タによるシミュレ-ションを行い,ファジ-システムが網制御に有効であることを示した。次に,ファジ-システムの記述性能を最大限に引き出す方法を検討し,通信網制御システムの網設備に対応したモジュ-ル化,デ-タ抽象レベルに対応した階層化を堤案した。
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