研究課題/領域番号 |
63460191
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
入戸野 修 東京工業大学, 工学部, 教授 (40016564)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1989年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1988年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | 磁性膜 / 反応スパッタリング / 鉄窒化物膜 / 膜構造 / 相分解 / 相変態 / 電気抵抗 / 高分解能電顕法 / 鉄薄膜 / スパッタ膜 / 反応性スパッタリング / 微細構造 / 鉄窒化膜 / 磁気構造 / 磁壁 / ローレンツ電子顕微鏡 / 結晶配向性 |
研究概要 |
初年度の研究で鉄窒化物膜の合成条件の特徴が把握できたので、本年度はさらに詳しく製膜条件を設定し、それに基づき作製した膜の微細構造の温度変化を中心に調べた。また、スパッタ膜の膜物性として、磁気特性(VSM曲線)に加えて電気伝導率の評価について行った。 (1)窒素ガス/アルゴンガス混合比、基板温度を設定し、放電電圧・電流を制御することにより所定の鉄窒化物膜が得られることを再確認した。 (2)基板温度が200℃以 では、鉄窒化膜によるX線回折ピ-クは鋭く、歪緩和が起こっており、安定相として形成されていることがわかった。 (3)基板温度の上昇は膜中の窒素濃度の減少と関連しているという初年度の結果を更に詳しく調べるため、スパッタしたまゝの膜を加熱しながら電顕中でその場観察する方法を実施した。その結果、(イ)スパッタ膜では局所的に規則性を示す原子配列が観察され、α相と同定された。(ロ)温度上昇で鉄原子と窒素原子はいずれも不規則状態から規則状態へ変化した。(ハ)この加熱過程で完全規則相のε-Fe_3Nが形成され、その空間群が決定された。(ニ)加熱速度の速さにより変態様式の異なる2つのε→γ変態が出現し、これらは鉄および窒素原子の拡散とシァ-変位を考慮すると説明できること。(ホ高温ではγ相がα相に相分解するが、それらの間には一定の方位関係は存在しないことが明らかにされた。 (4)VSM曲線は温度変化に対応して変化し、それらは分解相・析出相を考慮することで定性的に説明することができた。 (5)スパッタ膜の膜抵抗評価を確立するために、Fe膜について調べ、一定膜厚の抵抗値は放電ガスが高い程大きくなる傾向があることを見出した。この特徴は放電ガス圧の変化に伴う膜の微細構造、特に柱状粒間の粒界が質的変化を起こしたものとして説明された。この実験により、膜の電気抵抗測定が膜質の評価に利用できることが示唆された。
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