配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1988年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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研究概要 |
1.高圧・高温下において遷移金属水素化物を取扱う実験法の開発 高温で水素化物の熱分解を抑えるための水素封止法,電気抵抗・X線回折測定法,回収試料の組織観察による融解の判定法,内部水素源を用いた高圧下での試料水素化法など,数多くの実験方法を開発して状態図決定に役立てることができた。ただし,高圧下での中性子回折実験では,高圧セル材料の選択とコリメ-カ設計に関して多くのテストを行う必要があって,ようやく予備実験に成功を収めたところである。 2.超高圧下における遷移金属ー水素系の状態図の決定 TiーH,VーH系の圧力5GPa下における状態図を決定し,これにもとづいて遷移金属ー水素系の状態図の一般的特徴を明らかにした。とくに水素固溶による顕著な降下と,水素を主成分とする合金の生成を見出したのは重要である。また,単体水素の状態方程式をもとにして高圧下での水素溶解度の増大を計算し,この種の実験を行う際の基礎的知識を提供した。 3.高圧下における水素の体積について 遷移金属中に固溶した水素原子と単体水素の圧縮曲線を比較することによって,金属環境中にある水素原子は共通の圧縮曲線をもつことを見出した。これは金属中水素と金属状水素の研究の橋渡しをするものとして重要な意味をもつ。 4.まとめ 本研究は当初のFeーH系の研究から,遷移金属ー水素系の研究へと対象をひろげることによって多くの一般的に重要な成果を得ることができた。しかしながら,FeーH系に関しては当初の目標の一部分を達成したに止まっており,今後の進展にまつことになっている。
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