配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1988年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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研究概要 |
土壌侵食抑止の命題はリル網の発生・発達を抑止することに尽きるといっても過言ではない。本研究はこのような基本的の基に,リル網と土壌侵食量との間の関係について考察することを目標とし,さらに出来うればリル網の形態を数値化したものから土壌侵食量を推定する方法はないものかというもくろみでなされたものであった。 リル網は屈曲した複雑なパタ-ンを有し,この形成を数量的に取り扱うことは従来の幾何学の概念では困難であるため,本研究では不規則な図形の乱雑さを示す指標として使われるようになってきた。フラクタルの概念を適用し,斜面にできるリル網のフラクタル次元と流出土砂量の間にある関係について解折を行なった。 まず,造成地の斜面にできたリル網の写真観測を行ない,それを基にしてリル網の形態のフラクタル性を確認し,さらにフラクタル次元を用いて数値化したものと,パワ-・スペクトルやエントロビ-によって数値化したものおよびリルの斜面全体に占める面積率との関係などのリル網パタ-ンの数値化について検討した。また開畑地に設けた試験区では,3年間にわたって土壌面の3次元的形状と流出土砂量の変化の観測を継続した。(現在もなお継続中)一方では,擬似降雨を用いて斜面に人工的にリルを発生せさ,各時間におけるリルからの流出土砂量を測定し,その時間に対応したリル網形態のフラクタル次元との対応関係について考察した。また,土性によってリル網の発生の仕方がどのように異なるかを調べるため,マサ土,黒ボク,凝灰岩風化土,火山灰質粘性土の4種の異なった土壌について,それらのフラクタル次元を求めた。また,リル網の発達過程を凝集体モデルによりコンピュ-タ・シミュレ-ションを行ない,現場でのリルの形態を再現できることを確認した。
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