配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1988年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
|
研究概要 |
ペプチド薬物の経鼻吸収による適用法を開発する目的で剤形について検討をした。まずインタ-フェロンを種々の凍結破壊防止剤と吸収促進剤を用いて粉末剤形にして,生物学的利用能を比較した。グリココ-ル酸ナトリウムが最も高い吸収促進効果を示した。粉末剤形調整法として,混合法と凍結乾燥法を用いた。その結果,製剤調整のインタ-フェロンの力価は混合法の方が連結乾燥法より力価低下率が低く,凍結乾燥法の約3倍高かったが,生物学的利用能はどちらもほぼ同じ4.4〜4.8%であった。これは混合法による調整は,インタ-フェロンの鼻粘膜上での失活が大きいと推察された。従ってペプチド薬物を粘膜上の蛋白分解酵素より保護し,鼻粘膜への透過率を高めるためにリポソ-ム化を試みた。実験方法としては,リポソ-ム化したインスリンを鼻粘膜とインキュベ-ションし,インスリンの力価を測定し,リポソ-ム化によるインスリンの活性低下を調べた。又,ウサギより摘出した鼻粘膜を用いて,インスリン内包リポソ-ムによるインスリンの膜透過を調べた。その結果,インスリンをリポソ-ム化しただけでは,膜透過を示さないが,吸収促進剤であるグリココ-ム酸ナトリウムで膜を前処理すると,膜透過性がフリ-のインスリンに比べ,著しく促進された。さらにインスリン内包リポソ-ムの膜透過機構を調べるために,鼻粘膜をリポソ-ムとして透過するのか,フリ-のインスリンとして透過するのかを,レシ-バ-側のリン脂質濃度を測定することによって検討した。その結果,レジ-バ-側にはリポソ-ムによるリン脂質は検出されず,リポソ-ムから放出されたフリ-のインスリンが膜透過していることがわかった。又,鼻粘膜中に残存するグリココ-ル酸ナトリウムの濃度と定量し,リポソ-ムが鼻粘膜の近傍で,グリココ-ル酸ナトリウムにより硬壊され,局所でインスリンが高濃度になるため,膜透過が促進されたと推察した。
|