配分額 *注記 |
7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1990年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1989年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1988年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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研究概要 |
タイ原産植物Croton sublyratus Kurz が生産する生理活性ジテルペンジオ-ルであるプラウノト-ル(18ーヒドロキシーE,Eーゲラニルゲラニオ-ルの生合成を、水酸化酵素に注目して研究した。その結果、この植物の種子を発芽させた実生の100,000Xg沈澱部にゲラニルゲラニルニリン酸をプラウノト-ルに変換させる水酸化酵素の活性が認められた。ゲラニルゲラニオ-ルをトリトンXー100の共存で用いても、プラウノト-ルの生成が見られることから、この水酸化酵素の直接の基質は遊離のゲラニルゲラニオ-ルであると考えられる。この酵素活性は分子状酵素とNADPHに依存し、これらの中いずれか一方を除い系でのヒドロキシル化は見られなかった。しかし、この水酵化酵素の活性は極めて弱い上に、酵素源である実生の発芽成長状態や酵素の調製条件にきびしく依存するため、再現性に問題がある。プラウノト-ルの生合成の前段階に関与するイソペンテニルニリン酸イソメラ-ゼ,ファルネシルニリン酸シンタ-ゼおよびゲラニルゲラニルニリン酸シンタ-ゼの酵素活性を種々の生育状態の葉について調べた結果、ゲラニルゲラニルニリン酸合成酵素の活性は若葉や成葉よりも発芽実生において最も高いことがわかった。^<14>Cーメバロン酸の投与による代謝追跡実験によって、実生と若葉では、主としてシトステロ-ルとシクロアルテノ-ルへの取り込みの他にプラウノト-ルへの取り込みが見られた。葉から誘導されたカルスはプラウノト-ルを生産しないが、ゲラニルゲラニオ-ルは最大0、05%まで蓄積することが見いだされた。また、本研究の遂行に必要な放射性標識ゲラニルゲラニルニリン酸の合成法やイソプレノイドのニリン酸エステル類の分析法に新しい手法を導入して成功した。その他関連する成果として、植物由来のイソプレノイド代謝物であるグリシノプレノ-ル類やZ,E,Eーゲラニルゲラニルニリン酸の酵素的合成がある。
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