研究概要 |
1)アミド回転異性体をLow-temperature HPLC(LT-HPLC)で分離しフォトダイオ-ドアレイ検出器でその吸収スペクトルを測定した。ホルムアニドリドE-、Z-体にはかなり大きなスペクトルの違いが認められたがこれはアニリドのベンゼン環と他の置換基の立体反発のためベンゼン環が分子平面よりねじれ、その角度の違いによりベンゼン環-N結合次数に違いが生じたためと考えられる。 2)ケト-エノ-ル互変異性体を分離した。通常は測定不可能なβ-ジケトン、ケトエステル類の純粋な互変異性体の吸収スペクトルを測定したがその特性は既知化合物のそれと比較して合理的説明のつくものであった。またフッソ置換β-ジケトン類ではアルコ-ル、水中ではヘミアセタ-ル生成平衡も観測されこの吸収スペクトルも測定したが、これは非共約系のジケント体と類似していた。三フッ化ホウソとβ-ジケトン及びβジケトン金属キレ-トとの反応を連続的に追跡した。Fe(III)キレ-トでは紫色の不安定な中間体の存在を認めたのょ分離を試みたが残念ながら低温でも溶出せずその構造を推定することは出来なかった。シクロヘキサノンをLT-HPLCで分離しビニルアルコ-ル型のエノ-ル体と考えられるピ-クを認めた。 3)ジチオカ-バメ-ト(DTC)やそれ以外の錯体の3元錯体生成平衡を調べた。Zn(II),Fe(III),Tl(I),Mn(III)DTC錯体は室温では解離してピ-クを与え難いがLT-HPLCでは解離が抑制され良好なピ-クを与える。DTCとジチゾン(Dz)、キサンテ-ト(XAN)そのほかの配位子との3元錯体生成平衡をLT-HPLCで解析することができた。一般に安定な3元錯体を生成するときはその呼吸スペクトルはもとの錯体と大きく異なっているが3元錯体が不安定な場合、元の2種類の2元錯体のスペクトルの和に近いのは興味深い。
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