研究課題/領域番号 |
63470039
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機・錯塩・放射化学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
吉川 雄三 岡山大学, 理学部, 教授 (30022643)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1989年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1988年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | その場観察 / 金属錯体 / 結晶成長 / うず巻成長機構 / 分子力場計算 |
研究概要 |
フロ-型“その場観察"装置を作製し、オキサラトビスエチレンジアミンコバルト(III)塩化物([Co(ox)(en)_2]-Cl・4H_2O、すでにこの結晶の(001)面においてうず巻成長模型様を見い出している)について以下の観測を行った。 1.(111)面の直線成長速度の測定からこの面もうず巻成長機構をとっていると結論した。 2.光学活性体結晶面(001)に生ずる左右うず巻の発生頻度を統計的に調べた。両者の間にはほとんど差が認められず、うず巻の向きは錯体の分子および結晶構造を反映しないことが判明した。 3.結晶は通常(001)面が大きく発達した板状である。その表裏面の同じ位置を中心としたうず巻の組を見つけた。上記2項の結果とも考え合わせて顕微鏡下で観察できるうず巻は、結晶内での分子レベルの転移ではなくて、ほとんどのうず巻の中心で実際に観察することができるマクロな異物に端を発していると結論した。 4.結晶形が溶存化学種に大きく影響することを見い出した。すなわち、錯体結晶をラセミ体混合物溶液から成長させた場合にはその形は八角形であり、光学活性体溶液からの場合は菱形に近い六角形となり両者で顕著な差が見られた。問題の錯体以外の不純物が存在する場合も含めて各系における錯体結晶の成長形を詳しく調べた。 5.板状晶の形は側面の成長度合いに左右されるので、各側面(011)、(101)、(111)、(010)、(110)、(100)の安定度およびそれらと溶存種との相互作用の大きさを経験的分子力場計算法により求め、上記4項の実験結果とを比較し、それらの原因について検討した。計算で不安定とされた面および結晶構成成分との相互作用エネルギ-が小さい面は成長が速く、逆に安定と判定された面および不純物との相互作用エネルギ-が小さい面は成長が遅いという関係については、定性的には、実験と計算との間に矛盾のない非常によい結果が得られた。
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