研究概要 |
本研究は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金の溶融電極上に、四塩化チタンからの金属チタンを電解共析させた、融体のチタン含有合金を電解採取しようとしたものである。融体カソ-ド上でチタンを電析させることは、固体電析で問題になるような、電析形態における難問を避けられるばかりでなく、電極面における金属チタンの活量を下げられるので、不均化反応の進行を抑制することができる。溶融塩電解浴は、塩化ナトリウム〜塩化カリウム等モル混合塩に四塩化チタンを含むものであって、750℃で各種の実験を行なった。得られた結果を要約すると以下のようになる。(1)各カソ-ド機能面にAL〜CU合金プ-ルを積層させた二重電極電解により、上記の電解採取実験を行ない、最大7wt%のTi成分を電解させ得た。一部固体電析を伴なうので、合金中への金属Tiおよび溶媒塩中へのTiCl_4の溶解度を把握する必要が生じた。(2)Al-Ni,Al-Cu合金中への金属Ti溶解特性を調べ、0.3wt%の固溶限界以上のTiは、Al_3Tiなる金属間化合物を形成し、合金中に固体粒子として沈降することが判明した。融体金属中のTi含有率を増大させるためには、カソ-ドとして純Alを用いることが望ましい。(3)単極電解層を用いたAlとTiとの電解共析実験の結果、Al_3Ti粒子をAl中に沈降させるためには、Alプ-ル・カソ-ドを機械的に攪拌すべきであることが判った。(4)電解浴中のTiCl_4濃度を増大させるため、TiCl_4気泡と溶融塩との接触時間の長いラセン状の供給装置を考案した。また、塩化物溶融塩中の溶融AlはTiCl_4と反応して、Al_3Tiになりうることを見いだした。(5)前期のAl_3Ti生成反応速度は溶融塩中のAlCl_3濃度の増大と共に大きくなる。また、Arガスを導入して溶融Al表面を流動させると,Al_3Ti粒子を溶融Al中に好ましく分散させうる。以上、TiCl_4からのTi成分の直接電解採取は、合金成分としてのTiの新用途に対し、極めて魅力ある新プロセスになりうる。
|