研究概要 |
1.ヒロドキシアルミニウム(HA)イオンとオルトケイ酸(OS)の反応に及ぼす有機配位子の影響:HAイオンとOSをクエン酸など低分子有機酸、フルボ酸や腐植酸共存下で反応させるとヒドロキシケイ酸アルミニウム(HAS)イオンの生成が阻害される。特にAlに対してキレ-ト能の高い有機配位子の存在下で、有機配位子/Alモル比が0.03以上の時、非晶質および準晶質アルミノケイ酸塩粘土であるアロフェン、イモゴライトの形成が阻害され、Alー有機配位子複合体やアロフェン稀物質などが形成されることを明らかにした。 2.スメクタイトによるHASイオンの固定とHASースメクタイト複合体による腐植物質の吸着:スメクタイトがHASイオンをその層間に固定し、その物理的、化学的特性を著しく変化させることを明らかにした。HASーおよびHAースメクタイト複合体とフルボ酸、腐植酸を反応させると、スメクタイト単独ではこれらの有機配位子をほとんど吸着できないが、これらの複合体は多量の有機配位子を吸着した。 以上の結果は黒ボク土やポドゾル土の腐植層、埋没腐植層において、アロフェンやイモゴライトが生成されず、Alー腐植複合体やアロフェン様物質が主要な構成成分であることを実験的に実証するものである。また、非アロフェン質黒ボク土における腐植集積にHASイオン,HAイオンが活性Al成分として大きく寄与していることを示すものである。 3.酸性陸水中のAlイオンの形態とコロイド状アルミノケイ酸塩の挙動:7種の酸性陸水の水質を分析し,Al^<3+>、HAイオン,HASイオンを同定した。また、酸性陸水中のケイ酸アルミニウムコロイドの化学形態、鉱物組成に有機酸が影響している可能性を指摘した。
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