配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1990年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1988年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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研究概要 |
1982年に報告したように,我々はムラサキウニの間充織胞胚から内在性生理活性物質として,胚体外から与えると外腸胚を形成させる物質を見出し,正常発生において原腸形成に関わる物質と考え,その生理活性及び化学的性質の研究を行った。その主要な目的は1.この物質の原腸形成に関わる作用桟作,2.純化及び一次構造の決定,3.その遺伝子及び形質発現桟構の解明である。 1.外腸胚形成ペプチド(EGIP)の生理作用:これまでの予備実験において,細胞骨格,細胞増殖,細胞外基質に影響を与える可能性が示唆されているので,この3つの面を重点的に研究した。細胞骨格は抗体を用いて蛍光染色を行ない,EGIPの存在下でどのように変動するかを観察した。EGIPの投与により,かなりの影響を受けることが示唆されたが,結論を得るに至っていない。一方,16細胞期に大割球・中割球・小割球を單離し,それぞれの割球の分裂に対するEGIPの影響を調べ,大割球の分裂を一時的に阻害することが明らかになった。 2.EGIPの純化及び一次構造:EGIPには類似の4種があり,アミノ酸残基数53〜58のペプチドで,すべてのEGIPのアミノ酸配列が決定された。また,6残基のシステインを含み,EGFと類似の構造をもつことが明らかとなった。 3.cDNAの合成と遺伝子の発現時期:上記の4種のEGIPのうち,EGIPーDを用いて,ほぼ全長に近い1935bpのcDNAを得た。これをアミノ酸配列にほん訳すると,4種のEGIPが一つの大きな前駆体として合成され,その発現は原腸胚期に行われていることが明らかとなった。しかし,卵形成時に合成されるEGIPもあり,それらの相関及びその作用桟作,発現部位の研究などが今後の研究課題として残されている。
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