研究概要 |
1.細胞融合法による核細胞質雑種細胞のみをマイクロマニピュレ-タ-でピックアップして,保護培養することにより雑種細胞を分裂・増殖・再分化させる方法を検討した結果,電気融合法によりネギ属の核細胞質雑種細胞を作出し,これらのみをマイクロマニピュレ-ションにより保護培養に移すことは可能であったが,雑種細胞が確実に分裂・増殖する培養条件を確立することはできなかった. 2.通常のコルヒチン核置換法を用いてネギとシャロットの核置換を行った結果,1個体の核置換系統(2n=16)及び2個体の不完全核置換系統(2n=17)を得ることができた。この染色体数が16の個体については現在特性調査を行うとともに,染色体置換などを起こしていない完全な核細胞質雑種であるかどうかを確認する為,核ゲノム及び細胞質ゲノムの分析を行いつつある. 3.ネギ及びタマネギの近縁野生種Allium galantham,A.vavilovii及びA.oschaniniiの核ゲノムの同定方法を確立する為,これらとネギあるいはシャロットとの雑種を作出し,アスパラギン酸トランスアミナ-ゼ(GOT)及びグルコ-スリン酸ムタ-ゼ(PGM)のアイソザイムの分析を行った結果,GOT及びPGMのザイモグラムは種特異性があり,両方を分析することにより,これらの野生種の核ゲノムを同定することができた. 4.核細胞質雑種の核ゲノムの変異(染色体置換など)を染色体レベルで分析する方法を確立する為,GOT遺伝子をマ-カ-としてネギ及びシャロットの染色体を分析した結果,シャロット,ネギ共に遺伝子座Gotー1は第5染色体上に,Gotー2は第6染色体上にあることが判明し,これらのことから,GOTアイソザイムの分析によってネギ及びシャロットの第5染色体及び第6染色体を同定することが可能になった. 5.3年間の研究結果をとりまとめ,研究成果報告書を印刷・出版した.
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