研究課題/領域番号 |
63480041
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物保護
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西村 正暘 名古屋大学, 農学部, 教授 (10032070)
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研究分担者 |
柘植 尚志 名古屋大学, 農学部, 日本学術振興会特別研 (30192644)
小林 裕和 名古屋大学, アイソトープ総合センター, 助手 (80170348)
中塚 進一 名古屋大学, 農学部, 助手 (30109318)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1988年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | 植物病原糸状菌 / 宿主特異的毒素 / AKー毒素 / AFー毒素 / 分子識別 / ナシ黒斑病菌 / イチゴ黒斑病菌 / 宿主選択毒性 |
研究概要 |
ナシ黒斑病菌およびイチゴ黒斑病菌はそれぞれ宿主選択的なAKおよびAF毒素を生成して宿主を識別している。両毒素は構造類似で、共にエポキシ構造の付加したデカトリエン酸部分を持っている。前者は日本ナシに、後者は日本ナシとイチゴにのみ選択毒性を発揮するが、各種の誘導体を合成し、毒素の構造と選択毒性発現との間の相関が調査された。 両病原菌は、胞子発芽に毒素を外部に放出し、数時間内に侵入系を宿主細胞内に挿入した。ナシ黒斑病菌では胞子1個当り約0.1pgのAK毒素を、またイチゴ黒斑病菌では約0.5pgのAF毒素を発芽液中に放出していた。それによって、500個程度の宿主細胞に原形質膜の機能障害を誘起した。病原性失活菌様では毒素放出は全く認められなかった。 ナシ黒斑病菌の培養液中には、AK毒素と共に、エポキシ・デカトリエン酸が検出され、それが毒素生合成の中間体である可能性を示唆した。そこで^3Hラベル・トリエン酸を合成し、培養中に加えると、^3Hラベル・AK毒素が生成することが判明した。病原性失活変異菌株では、AK毒素はもちろん、トリエン酸の生成も認められず、またこのような変異菌株ではトリエン酸を与えてもAK毒素の生成は起らなかった。したがって、病原性失活(AK毒素の生合成能失活)変異株では、酢酸からトリエン酸生合成の過程が欠落していると結論した。 ナシ黒斑病菌は角皮感染型であり、宿主の角皮貫通のためには、諸要因を必要とする。そこで野生株から各種変異菌株を作出し、要因分析を行った。その結果、ペクチン分解酵素活性やメラニン合成能は病原性発現の必須要因ではない。しかし、クチナーゼ活性や物理的侵略力(実験的にはポリビニル・ホルマル薄膜を貫通する力)などは重要な病原性構成要因であることが判明した。このような要因が欠損した変異菌株では、たとえAK毒素を生成しても、ナシ組織に病原性を発現できなかった。
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