研究概要 |
ニワトリの松果体および血漿メラトニン濃度は、明暗シグナルを第一の同調因子として明期に低く暗期に高い顕著な日周リズムを示す。本実験ては孵化後直ちに手術を施し、松果体除去区、眼球除去区、松果体・眼球除去区および松果体除去に対する偽手術区、無手術区を設け、それぞれ1,7,16,29,65ならびに100日齢において血漿メラトニン濃度を測定したところ、松果体除去区では若干日周リズムか認められたが、その暗期の値は何れの日齢においても対照区(無手術区、偽手術区)より低く、約30%であった。眼球除去区でも同様な日周リズムが認められたが、その暗期の値は1日齢ては対照区の約30%と低かったものの、7,16日齢と上昇し、29,65および100日齢では対照区とほぼ同等であった。松果体・眼球除去区ては血漿メラトニン濃度の日周リズムは不明瞭であった。これらより網膜からもメラトニンが血漿中にリズミカルに放出されるが、それは日齢の経過とともに減少すると推察された。さらに、常暗下、孵卵・孵化したニワトリヒナを、ひき続き常暗下で騒音源としてWhite noiseを用い、常騒音あるいは12時間(6:00-18:00)騒音の条件下で飼育し、それぞれ、1,7,13ならびに24日齢において松果体および血漿メラトニン量を測定した、常騒音条件てはすべての日齢を通して松果実体、血漿メラトニン量は日周リズムを示さなかった。それに対し12時間騒音条件では、松果体メラトニン量は全測定期間を通して騒音時間帯にピ-クが認められ、日周リズムを示した。しかし、その変動が明暗シグナルによるメラトニン日周リズムをに比べ不明瞭で、血漿メラトニン量は明確な日周リズムを示さなかった。これらより常暗下においては、音によるシグナルも、明暗によるシグナルよりはその力は小さいがメラトニン日周リズムの形成に対して同調因子となりうることが推察された。
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