配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1988年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
研究概要 |
我々は、水の貯留,アルカロ-シスなど高山病の発症要因とされる水・電解質代謝の異常が,低圧・低酸素負荷によって起こる水・電解質代謝の調節ホルモンの分泌増加により増悪すること,低圧・低酸素負荷で血清カルシウムの上昇,隣の低下という電解質代謝異常が起こることを認めた。本研究は,(1)低圧・低酸素負荷時に,水・電解質代謝の調節ホルモンの分泌増加を抑制ないしホルモン作用を阻害した際のこの代謝異常への影響,(2)低圧・低酸素負荷に対するホルモン反応の、デキサメサゾンによる抑制率を,登山家と非登山家で比較し,高山病の易羅患性の判定の可能性,(3)低圧・低酸素負担による血清カルシウムの上昇,隣の低下への副甲状腺ホルモンの関与を,検討し,高山病の発症予防と治療に資することを目的とした。(1)6,000m模擬高度負荷によって起こる水の貯留やアルカロ-シスが,デキサメサゾン投与による抗利尿ホルモンやアルドステロンの分泌増加の抑制により軽減し,自覚症状も軽減した。アルドステロン作用の阻害剤であるスピロノラクトン投与も水貯留やアルカロ-シスを軽減した。それ故,これらの薬剤が高山病の発症の予防・治療に役立つ.(2)模擬高度負荷によって起こる血清コルチゾルの上昇反応は,登山家では非登山家に較べてより少量のデキサメサゾンによって抑制される。このコルチゾルの抑制とアルドステロン及び抗利尿ホルモンの抑制の一致率が高い。即ち,デキサメサゾン投与による高山病の易羅患性乃至登山の適格性の判断の可能性が示唆された。(3)低圧・低酸素負荷により血清カルシウムの上昇と隣の低下が起こる。この変化は解糖系機能の促進によると考えられるが,副甲状腺ホルモンの分泌増加が,この代謝異常を助長することが示された。細胞機能の調節,発現に重要なこれらのイオンの代謝異常の高山局発症への係わりに関する検討の必要性が示唆された。
|