研究課題/領域番号 |
63480139
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 長崎大学 (1989-1990) 東海大学 (1988) |
研究代表者 |
中根 一穂 長崎大学, 医学部, 教授 (60164240)
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研究分担者 |
小路 武彦 長崎大学, 医学部, 講師 (30170179)
守内 哲也 (森内 哲也) 東海大学, 医学部, 講師 (20174394)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1990年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1989年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1988年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | DNA損傷 / DNA修復 / 細胞の分化 / Nick Translation / 細胞分化 / PCNA / 紫外線 |
研究概要 |
HL60に紫外線(UV)照射すると顆粒球に分化するとの結果から、UV照射はDNAにビリミジン二量体(TーT dimer)を形成させ、そのTーT dimerは修復機構により除去されるが、この修復過程で単鎖切断 (single stranded breaks, SSこ)が一過的に形成されるので、"SSBの形成が細胞分化を誘導したのか、あるいは DNA修復過程が誘導してのか?″の問いが生じた。そこで仮説を゙核DNAでのSSBの形成とその修復は細胞の分化や老化過程に必要である゙として、この仮説の是非を証明するのをこの研究の当初の目的とした。この仮説には、個々の細胞に於けるSSBの頻度、その細胞のSSBの修復能力とその細胞の分化過程との相互関係の有無を先ず確立する必要があり、この為、細胞核内DNAのSSBの検出方法を確立して、その手法と細胞組織化学的手法を用いて施行した。UV無照射の末梢血リンパ球では核内DNAのSSBは検出されなかったが、UV照射後2時間でSSBが検出された。同条件下でTーT dimerの出現を検出すると、免疫染色度は紫外線照射直後に最も強く、序々に低下した。この結果はUV照射により核内DNAが障害を受け、TーT dimer化されたが、時間の経過と共に序々に修復されたと解釈される。同様な現象は体内でも発生するかを検討する目的で、マウスの耳介を対象として一連の検索をしたところ、UV無照射の耳介の表皮基底細胞核の周辺部にDNA polymeraseと接触可能なSSBが存在し、この部分のDNAは障害を受けても修復されるが、上層の表皮細胞の核にあるSSBはDNA polymeraseと接触できず、これら細胞のDNAは修復されないとの結果を得た。これら一連の研究結果から修復可能なSSBの存在する箇所のDNAからhnRNAへの転写が起こると示唆された。その他、細胞質内の存在する特定な塩基配列を持つmRNAを細胞単位で定量する方法論も開発したので、現在、UV照射により発現する遺伝子のin situ hybridizationによる同定とその定量化を試みている。
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