研究課題/領域番号 |
63480148
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
久津見 晴彦 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90072868)
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研究分担者 |
稲岡 徹 旭川医科大学, 医学部, 助手 (00091562)
中尾 稔 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70155670)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1990年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1988年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | 多包虫症 / モノクロ-ナル抗体 / 診断 / 治療 / モノクローナル抗体 / 診断と治療 |
研究概要 |
多包虫症は、多包条虫の幼虫が肝臓などの組識に寄生することによって引き起こされる疾患で、難治性であることから、欧州、シベリア、アラスカ、北海道など北方圏の流行地において公衆衛生上重要な問題となっている。北海道では、野生動物間での多包条虫の流行が各地で確認され、患者の多発が懸念されている。しかし、診断および治療面での基礎的研究は立ち後れているため、モノクロ-ナル抗体の応用を着想し、研究を開始した。 多包虫に対するマウス型モノクロ-ナル抗体は最終的に23種類作製できた。このうち、多包虫の胚細胞層に特異的な抗体を利用して、放射線学的診断法と虫体の生死判定法を検討した。放射線学的診断法では肝臓病巣の特異的描出を目標とし、アイソト-プ(I^<131>)標識抗体を肝多包虫症動物モデルに静注してシンチグラムで観察した。抗体は肝臓に集積したが、病巣とは特異的に反応しなかったため、多包虫外層のクチクラ層を抗体が通過できないことが推察された。この結果から、薬剤を結合させた抗体によるミサイル療法は多包虫症に関する限り、現実的ではないと思われた。また、免疫組識染色で患者病巣中の胚細胞を検出したところ、動物移植実験で虫体の生存が証明された病巣部位では胚細胞が検出され、虫体の死滅部位では胚細胞を検出できなかった。通常、ヒトの多包虫病巣では虫体の生死を確認することは非常に困難であるため、免疫組識学的な生死判定法は利用価値が高いと考えられた。多包虫の抗原特性についても患者血清を用いて調査した。その結果、ヒトは、分子量 65kDaと 56kDaの虫体蛋白に主要な抗体応答を示すことが明かとなった。今回の研究では、これらの抗原に対してモノクロ-ナル抗体を作製できなかったが、これはマウスにおける抗体応答がヒトと異なるためと考えられた。今後、動物の免疫方法を工夫し、ヒトでの主要抗原と反応する抗体を得る必要がある。
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