配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1990年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1988年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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研究概要 |
昭和63年度から平成2年度までの研究で,われわれは住血吸虫DNAに存在するレトロウイルス関連配列について次のような事実を明らかにした。1.マウスtype C xenotropic及びecotropicウイルスのenv領域,ecotropicウイルスのgag領域及びpol領域と相同性を持つ配列が,その存在様式は異なるけれども日本住血吸虫・マンソン住血吸虫の成虫や虫卵に存在した。2.マウスtype A及びendogenous type Cレトロウイルスと強い相同性を持つ配列が日本住血吸虫成虫とマンソン住血吸虫虫卵DNAに存在したが,マンソン住血吸虫成虫DNAでは欠落していた。3.外来性ウシ白血病ウイルス・内在性ブタレトロウイルスの配列に類似する配列が日本住血吸虫・マンソン住血吸虫の成虫及び虫卵に存在した。4.マウスxenotropicレトロウイルス(Bv2)のenv及びgag遺伝子で免疫したヤギ血清を用いた酵素免疫測定法で検索した結果,抗Bv2 gp70(env遺伝子産物であるウイルス外被膜蛋白質)抗体で住血吸虫雄成虫のtegument下層と雌成虫の卵黄腺に特異的反応が認められた。ウェスタンブロット法でも各々に特異的なバンドが検出されたが, そのパタ-ンは種や性差によって異なった。5.日本住血吸虫・マンソン住血吸虫の虫卵及び成虫のゲノムDNAをサザンブロット法により比較検討した結果,マンソン住血吸虫成虫では発育に伴うDNAの再編成と欠失が認められた。6.PCR法による検索では,レトロウイルスのpol領域関連配列が両種住血吸虫DNAで増幅されたが,その程度はマンソン住血吸虫成虫で低く,gag領域は日本住血吸虫雄成虫とマンソン住血吸虫虫卵DNAでのみ,env領域はマンソン住血吸虫雄成虫DNAで増幅が認められた。7.両種住血吸虫DNAにはレトロウイルス関連配列の他に,B1・B2・moー2など各種の宿主(マウス)関連反複配列が検出された。今後さらに,これらの配列の住血吸虫DNA中における在存様式と機能の解析を進める予定である。
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