研究課題/領域番号 |
63480152
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細菌学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
光山 正雄 新潟大学, 医学部, 教授 (10117260)
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研究分担者 |
吉開 泰信 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (90158402)
河村 伊久雄 新潟大学, 医学部, 助手 (20214695)
藤田 雅 新潟大学, 医学部, 助手 (40115069)
藤村 響男 新潟大学, 医学部, 助手 (50209087)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1988年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | リステリア / 細胞内寄生性細菌 / ヘモリシン / IL-1(インタ-ロイキン-1) / マクロファ-ジ / T細胞 / 細胞性免疫 / リステリア菌 / 感染防御免疫 / 遅延型過敏反応 / 感染抵抗性T細胞 |
研究概要 |
昨年度はリステリア菌の病原因子の解析に主眼を置いて研究を進めた結果、ヘモリシンが病原因子として重要であるのみならず、感染に伴う細胞性免疫誘導にも不可欠な役割を果たしていることを明らかにした。今年度は、ヘモリシン産生病原株による細胞性免疫誘導の機序を、とくにT細胞の機能分化に注目して解析し、以下のような成果が得られた。1)ヘモリシン産生株と非産生株の間には、標準株生菌でマウスを免疫して誘導される抗原特異的T細胞を刺激する抗原性に何ら違いはみられない。2)ヘモリシン産生病原株による免疫ではT細胞のIL-1反応性発現が先行し、次いでIL-2反応性の発現、抗原刺激に対する分裂能やリンフォカイン産生能などの機能分化が進行するが、死菌やヘモリシン非産生株生菌による免疫では、T細胞の弱いIL-1反応性が出現するのみで以後の機能分化が進行しない。3)抗原性以外にこのような免疫応答の初期段階に作用する因子としてIL-1に注目し、ヘモリシン産生の有無と菌体での培養マクロファ-ジに対するIL-1産生誘導能の相関をみたところ、ヘモリシン産生株生菌では極めて高いIL-1誘導能を示すが、その死菌体や、生菌でもヘモリシン非産生株では著明に低く、ヘモリシン産生能がIL-1産生誘導能に相関していた。4)精製したヘモリシンはマクロファ-ジを刺激してIL-1のmRNAを発現させ、またIL-1を放出させた。5)精製ヘモリシンは単独で非免疫脾細胞の分裂を誘導する活性を有する。6)T細胞の分化を単独で誘導できない死菌による免疫に際し、リコンビナントIL-1を追加投与したマウスでは、生菌による免疫と同様のT細胞の機能分化を誘導することができた。以上の結果と、昨年度の結果から、リステリア菌の細胞内寄生性や、病原性にはヘモリシンが重要であり、さらにヘモリシンがマクロファ-ジからのIL-1産生を強く促すことによって、細胞性免疫を担うT細胞の分化が誘導されることが明らかとなった。
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