配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1990年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1989年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1988年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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研究概要 |
インフルエンザウイルス血球凝集素(HA)のレセプタ-結合構造の解析は2つの方法を用いて行なわれた。1つは抗原型が異なる13種のHAたんぱく質の構造の比較を通してレセプタ-結合構造の特徴を検討することである。我々はいまだ報告されていない7つの異なる抗原型のHA遺伝子をクロ-ニングし,塩基配列を決定しアミノ酸配列を推定した。13型のウイルスHAたんぱく質の機能部位の比較検討を行ない,レセプタ-結合構造の保持のされ方について議論した(文献10)。第2の方法は,invitroでのHA遺伝子への突然変異の導入及び変異HAを動物細胞に発現させてレセプタ-結合機能の変化を検討するものである。HI型HAはH3型HAのレセプタ-結合構造と異なり,226番目のアミノ酸がレセプタ-結合に極めて重要であることを見い出した(文献3.10)。インフルエンザウイルスは流行の中でHA遺伝子を変異させ続けている。この連続的抗原変異のレセプタ-結合構造への影響をみるため,HI及びH3型ウイルスのHAたんぱく質に対して20年間のアミノ酸変異を推定し(文献1.9),その影響を議論した(文献4)。 細胞レセプタ-に関しては,HAの抗原型や,宿主のちがいをこえてシアル酸に附加した糖鎖の影響はみられなかった。H3型HAたんぱく質はトリより分離されたものはNeu2ー6Galを認識し,ヒトウイルスではNeu2,3Galを認識するが,他の型においてはこの認識に対し種による特徴は見られなかった。H3型HAたんぱく質では226番目のアミノ酸がグルタミンの場合はNeu2ー6Gal認識で,ロイシンの場合はNeu2,3Gal認識と言われているが,H3以外のすべてのHAたんぱく質は226番目のアミノ酸はグルタミンであった(文献10)。
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