研究課題/領域番号 |
63480158
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渋田 博 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70012721)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1988年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | パラインフルエンザウイルス / 組換えワクチニアウイルス / HN蛋白質 / F蛋白質 / 多核巨細胞形成 / 病原性 / リボヌクレオ蛋白質 / 相補的DNAクロ-ン / 膜融合蛋白質 / 赤血球凝集素 / ニュ-ラミニデ-ス / パラインフルエンザウィルス / 組換えワクチニアウィルス / F糖蛋白質 / HN糖蛋白質 / M蛋白質 / 遺伝子構造 / アミノ酸配列 |
研究概要 |
牛パラインフルエンザ3型ウイルスの強毒M株は強い多核巨細胞形成(SI)能を持ち、マウスに致死性脳炎を起こす。弱毒SC株はSI能が弱い。しかしSI能を直接担っている膜融合タンパク質(F)は両株でアミノ酸配列が同一である。代わりに赤血球凝集(HA)活性とニュ-ラミニデ-ス(NA)活性を担うHNタンパク質と、ウイルス粒子を裏打ちする膜蛋白(M)の夫々が両株で一アミノ酸異なっている。本研究ではHNとM蛋白質のいずれの変異がSIを左右しているのかを決定するため、M株とSC株のこれらの遺伝子を単独に発現する組換えワクチニアウイルスを作製し、種々の組み合せで細胞に感染させた。その結果、FとM株のHNが同時に発現した時のみ激しいSIが観察され、HNの変異がSIを規定していることが判明した。この変異部位はHNのC末端近くにあり、HAやNAの活性中心とは離れている。しかしこの変異がHNの細胞内輸送の極性を変えている可能性は実験で否定されたので、この部分が細胞膜と何等かの反応を行っていると予想され、その解析を始めている。一方、M株からSC株同様にSIの弱いウイルス株を分離したところ、そのHNはM株のままであり、代わりにFタンパク質に一アミノ酸の変異があった。即ち、パラインフルエンザウイルスによるSIは、FとHNの双方の関与によって起こるものであり、その程度はFとHNのいずれの変異によっても影響される事が判明した。しかしこのウイルス群の更に詳しい病原性の解析には、ウイルスゲノム自体への部位特異的変異導入が必須であり、それにはゲノムRNAに相補的DNAからウイルスを回収する必要がある。このウイルス群を代表するHVJのリボヌクレオタンパク質を導入した細胞に、HVJのポリメレ-スを発現する組換えワクチニアウイルスを感染させたところHVJが回収され、目的に大きく近づいた。これは同時に、この群のウイルスのポリメレ-スを単独で発現させることに成功した世界最初の例であった。
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