研究課題/領域番号 |
63480189
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松尾 清一 (松尾 精一) 名古屋大学, 医学部, 助手 (70190410)
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研究分担者 |
伊藤 恭彦 名古屋大学, 医学部, 医員
吉田 太 愛知学院大学, 歯学部, 講師
深津 敦司 名古屋大学, 医学部, 医員
渡辺 有三 名古屋大学, 医学部, 助手 (90135369)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1988年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | 糸球体腎炎 / 免疫複合体 / 内皮細胞 / 上皮細胞 / レクチン / 膜糖蛋白 / 細胞骨格 / モノクロ-ナル抗体 / 上皮下沈着物 / 基底膜 |
研究概要 |
糸球体内皮細胞膜上にレクチンを結合させた後に抗レクチン抗体を作用させ経時的に免疫複合物の動態を観察し以下の結論を得た。HPAを抗原として用いた場合、内皮細胞膜上で抗体と反応し細胞骨格を介して局剤を変化させ顆粒状の免疫沈着物を形成する。更にそれは糸球体ろ過圧によって糸球体内皮下→上皮下へと移動し最終的にはヒト膜性腎症類似の病像を呈する。このように外来性の抗原が内皮細胞膜上で抗原抗体反応により最終的に上皮下沈着物となってゆく過程が免疫病理学的に明らかにされた。この事はヒト膜性腎症の成因の多様性を示唆しており重要な所見であると考えられた。又、培養ラット糸球体上皮細胞を用いた系では別のレクチン(LCH)を用いて細胞膜上で形成される免疫複合物の動態を観察し以下の結論を得た。即ち37℃でLCHを結合させると急速に細胞内へ取り込まれる。4℃でLCHを細胞表面に結合させた後37℃で抗LCH抗体(2価)を作用させると細胞外へ放出される。これらの所見なら培養細胞系でも外来性抗原(LCH)と抗体の反応により免疫複合物が形成され近接の構造物中へ放出されることが明らかとなった。次にHPA結合性糖蛋白質をラット糸球体細胞膜から精製しこれに対するポリクロ-ナルおよびモノクロ-ナル抗体を作製した。当初の予想に反しこれらの抗体は糸球体上皮細胞を特異的に認識した。モノクロ-ナル抗体の認識する抗原はまだ十分に解析できていないが、ポリクロ-ナル抗体は160KDのポドカリキシンの糖鎖を含む抗原沢定基を認識することが明らかとなりこの抗原決定基が糸球体上皮細胞膜の自由面に特異的に存在することが示唆された。ヒト糸球体にも同様の抗原が存在することも判明し、ヒト急性糸球体腎炎の発症機序を考える上で重要な所見である。又、ラットにこれらの抗体を投与してみると軽度ではあるが、糸球体の変化を惹起し得ることが確認された。
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