研究課題/領域番号 |
63480202
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
平山 千里 鳥取大学, 医学部, 教授 (90037333)
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研究分担者 |
山田 貞子 鳥取大学, 医学部, 教務員 (40150362)
加藤 誠一 鳥取大学, 附属病院, 助手 (10185845)
河村 学 鳥取大学, 附属病院, 助手 (70135854)
村脇 義和 鳥取大学, 医学部, 助手 (90144659)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1988年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
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キーワード | アルコール / アルコール性膵障害 / 脂肪酸エチルエステル |
研究概要 |
アルコールによる臓器障害は、エタノール自体のほか、主としてエタノールの代謝産物の関与が考えられるが、膵ではとくにエタノールの非酸化的代謝系によって生成された脂肪酸エチルエステル(FAEE)による糸粒体障害が推測される。我々は、ラット各臓器の酸化および非酸化的酵素活性の分布を観察し、エタノール投与による膵障害の機序を検討した。 Wistar系雄性ラットの諸臓器で、アルコール脱水素酵素(ADH)活性とFAEE合成酵素活性を測定した。平均(±SEM)ADH活性は、肝、精巣、膵、脳で、それぞれ、223±34、35±13、27±17、24±15nmol/hr/mg蛋白であり、心筋と骨格筋では検出されなかった。FAEE合成酵素活性は、膵、肝、精巣、心筋で、それぞれ、1348±263、23±14、17±3、2±1nmol/hr/mg蛋白で、脳と骨格筋では検出しなかった。以上より、肝ではADHを介する酸化的代謝系が主であることが確認された。一方、膵では、非酸化的代謝系のFAEE合成酵素活性が著しく高かった。 エタノール含有液体飼料を7週間投与したラット膵で、ADH活性、FAEE合成酵素活性、FAEE含有量とアミラーゼ活性を測定した。ADH活性は、エタノール投与によって変化しなかった。また、FAEE合成酵素活性も、コントロール群、エタノール群において、それぞれ、1287±157、987±193nmol/hr/mg蛋白で差は無かった。しかし、膵組織中FAEE量は、コントロール群、エタノール群で、それぞれ、1.22±0.25、6.83±0.96nmol/g膵で、エタノール群で約5倍高かった。膵アミラーゼ活性は、エタノール群で、約20%に低下した。膵FAEE量と、膵アミラーゼ活性の間には有意の、負の相関関係が認められた。以上より、エタノールの非酸化的代謝産物の一つであるFAEEは、エタノールによる膵障害の発生に関与しているものと思われた。
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