研究概要 |
目的:経皮経管的に血管や心臓の内腔、また弁などを臨床的に観察する方法を確立することを目的とした。 成績:過去3年間のうちに、麻酔イヌを用い、冠動脈,肺動脈,右心房室、左心室,大動脈弁などの血管内視鏡による観察を安全かつ効率的に行うことを検討した結果、バル-ン付誘導カテ-テルを用いることが必順と考えられることに至り、バル-ン付誘導カテ-テルを考案し動物での検討ののち臨床応用を試みた。その結果、1)経皮経管的に冠動揚内腔の変化、たとえば〓腫の部位,大きさ,や色調,血栓,PTCA前後の内腔の変化を観察しうることが判明した。2)ついで左心室の内腔の観察を試みた。正常の左心室内膜面は赤褐色を呈し、肉柱の収縮地緩の状態が把握出来た。拡張型心筋症では、内膜面は黄色,白色,淡褐色など症例によりかなりの差があることが判明した。一部の症例では、内視鏡誘導下で心筋生検を行いうることが判明した。急性心筋炎例では内膜面は赤色,ピンク色,赤褐色,白色と赤色のまだら状分布など、夛様であることが判明した。虚血性心疾患では、収縮の低下部位では内膜面は線維化により白色化し、壁在血栓のみられた例もあった。 3)大動脈弁は正常例では白色を呈し、近縁は鋭で拡張期には完全に交合することが観察された。リウマチ性大動脈疾患では弁光の肥厚,交合不全,黄色化などがみられた。リウマチ性僧帽弁疾患でも、弁の肥厚,収縮期の交合不全などがみられた。また、リウマチ性弁膜症では心内膜炎によると考えられる左心室内膜面の白色化、腱索の白濁などがみられた。 考察:以上の成績から、経皮経管的血管内視鏡により、冠動脈,心内腔,弁の病変が、安全に観察しうると判断された。
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