研究概要 |
(1)乾癬患者の末梢血の単核細胞は自己混合リンパ球反応が低下しているだけでなく,連鎖球菌抗原のOK432に対する反応性も低下している。一方,T細胞増殖因子であるIL2,IL3,IL4,GMCSFへの反応性は正常人のそれと違いはない。そこで,膿疱性乾癬と寧蹠膿疱症の患者末梢血の単核細胞についても同様の検索を行てみた。その結果 膿疱性乾癬では乾癬と同様の低下が認められたのに対し、寧蹠膿疱症では正常人となんら違いがなかった。このことより、同じように角層下膿疱を形成する疾患ではあるが、組織像にも違いがあるように、寧蹠膿疱症は膿疱性乾癬と同一にして論じるには無理があると考えられた (2)乾癬病変部向層中にはC5αアナフィラトキシンやIL8などその発症に関連したと考えられる化学伝達物質が存在しているはずである。それぞれの患者より向層抽出液を作製し,ELISA RIA 生物活性を分析した結果 IL1α,βは低下,TNTαは検出されなかった。GCSFは正常角層と違いはみられなかったが,GMCSF,INFーα IL2は上昇していた。 (3)表皮ケラチノサイトは,試験管内における培養で,その増殖期に一致した白血球走化性因子を放出する。それは耐熱性分子量にKDのペプチドであり,その活性は抗IL8血清により抑制される。すなわち,IL8を放出する。このものはC5αアナフィラトキシンとの間に白血球走化性活性において相集効果を現わす。また 培養液中のIL1,TNFα,LPSの存在でその分泌が亢まってくる。乾癬病変部においては,このようなサイトカインなどの刺激,細胞増殖性亢進刺激が加わってIL8の分泌が亢進していると考えられる。
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