研究課題/領域番号 |
63480268
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (40135380)
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研究分担者 |
松井 信夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (50023643)
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (80174308)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1990年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1989年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1988年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | サイロキシン結合グロブリン / 部位特異的突然変異 / トランスフェクション・ / 糖鎖 / トランスフェクション / 遺伝子 |
研究概要 |
サイロキシン(T4)結合グロブリン(TBG)は血中の主要なT4結合蛋白で、肝において合成される糖蛋白である。本研究では、TBG分子中の糖鎖の生理的役割を研究するため、肝癌細胞株を用いて最初の検討を行った。TBGの糖鎖付加をツニカマイシンにより阻害した場合、TBCが全く分泌されず、T4結合能を持たない変性TBGと抗原性を同じくすることを明らかにした。この研究は、糖鎖付加がTBG分子の細胞内移送、T4結合能に大きな影響を与えることを明らかにした。ついで、正常及び異常TBG症患者(TBGーGary)のゲノムTBG遺伝子をクロ-ニングした。塩基配列の決定により、TBGーGaryゲノムの第一エキソンに単一塩基置換を見いだし、この置換が、TBGの96番目のアミノ酸イソロイシンをアスパラギンに変え、異常TBGには新たにアスパラギンーシスチン-セリンからなるNー結合性糖鎖付加部位が生じることを明らかにした。この塩基置換を有する患者のTBGは、熱に著しく不安定で、血中濃度も著しく低い事が知られているため、新たな糖鎖付加が、患者血中のTBGの異常を起こしていることが示唆された。このことを証明するため、正常並びにTBGーGaryをコ-ドする構造遺伝子を作成し、これらの遺伝子を動物細胞発現ベクタ-であるpEUKーC1に挿入、Cos1細胞へ導入した。この細胞を用いたパルス-チェイス実験により、TBGーGaryに見いだされた単一塩基置換によるアミノ酸変異部位が糖鎖付加を受けていること、またこの異常TBGが細胞内分解を受け易く、分泌されにくいことを明らかにした。更に、部位特異的突然変異作成法を用いて、TBGーGaryの新たな糖鎖付加部位であるアスパラギンをアスパラギン酸に変異させた場合、TBGーGaryの物理化学的特性はほぼ正常となり、TBGーGary蛋白の異常はアミノ酸変異によるよりは、糖鎖付加が原因であることが示された。以上、本研究により、アスパラギン部位に付加される糖鎖がTBGの分泌、代謝並びにT4結合能に重要な役割を果たしていることが明かにされた。
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