研究課題/領域番号 |
63480288
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
入山 圭二 三重大学, 医学部, 助教授 (10024754)
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研究分担者 |
本泉 誠 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (30144265)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1989年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1988年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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キーワード | 脂肪乳剤 / 経静脈栄養 / アポリポ蛋白 / リポ蛋白 |
研究概要 |
経静脈栄養基質としての脂肪乳剤中の人工脂肪粒子(exo TG)が、リポ蛋白の加水分解を調節する蛋白成分(アポリポ蛋白C)を持たないにもかかわらずカイロミクロンと類似した血管内代謝動態を示す機構は不明であった。研究代表者によると、exo TGが高比重リポ蛋白(HDL)をドナ-としてアポリポ蛋白を血中で結合し、exo TGがリポ蛋白化されることがexo TGの血管内代謝において重要な部分を占めることをみいだした。この研究をさらに発展させるため以下の実験を行った。用いた脂肪乳剤は長鎖脂肪酸を構成成分とするダイズ油を卵黄レシチンで10%(w/v)の濃度に乳化したものである。実験1:脂肪乳剤の1ml/kgを急速静注し、静注終了後90分間にわたり静脈血を採取した。この急速静注を90分間隔で3回繰り返した。実験2:脂肪乳剤を5ml/kg/hrの速度で静注し始め、中性脂肪濃度を500mg/dl前後の値に150分間維持した。実験3:Exo TGと血漿をIn Vitroで反応させた。血漿を分離用超遠心器を用いて各リポ蛋白分画に分離し、各リポ蛋白分画中に含まれるアポリポ蛋白C-II、C-III、Eを定量した。得られた結果を要約すると以下のごとくである。実験1:アポリポ蛋白C-IIとC-IIIは、脂肪乳剤投与後直ちにHDL分画で減少しVLDL+exo TG分画で増加し、その後exo TGの加水分解曲線に一致した動きを示しながらHDL分画に戻った。このようてHDLとexo TG間のアポリポ蛋白の一連の動きは、脂肪乳剤の3回の急速静注において変化なくみられた。実験2:脂肪乳剤の投与を開始した後30分で中性脂肪濃度は500mg/dlに達しplateau levelを維持した。アポリポ蛋白C-IIとC-IIIは脂肪乳剤投与開始後HDL分画で減少しはじめ、VLDL+exo TG分画で上昇しはじめた。中性脂肪濃度が500mg/dl前後の値でplateauとなった時点より、HDL分画とVLDL+exo TG分画内のアポリポ蛋白C-IIとC-IIIもplateauとなった。実験3:アポリポ蛋白C-IIとC-IIIはin vitroにおいてもHDLからexo TGに転送されたが、アポEは転送されなかった。以上の結果より、アポリポ蛋白C群は、HDLとexo TGの物理的接触でexo TGに転送され、絶えず供給されるexo TGを直ちにリポ蛋白化してこの血管内代謝を調節していることが明らかとなった。
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