研究分担者 |
西浦 清昭 長崎大学, 医学部附属病院, 医員
徳永 茂樹 長崎大学, 医学部附属病院, 医員
前田 治伸 長崎大学, 医学部, 講師 (10211559)
井沢 邦英 長崎大学, 医学部附属病院, 助教授 (40124820)
角田 司 長崎大学, 医学部, 助教授 (00110841)
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研究概要 |
急性膵炎と慢性膵炎との関連性について検討する目的で,急性膵炎発症後の膵病変の推移を,雑種成犬を用いた膵炎惹起物質の膵管内注入法により検討した。 当初注入物質として自家胆汁を使用し検討を行ったが,低圧では頻回の注入にても急性膵炎は発症せず,比較的高圧注入にて急性膵炎像は得られたが,膵内外分泌機能検査(経静脈的糖負荷試験,セルレインセクレチンテスト)では異常を認めず,膵組織像も比較的短期間に回復し,胆汁の膵管内注入では慢性膵炎類似の病変は発症しないことが判明した。 デオキシコ-ル酸の膵管内注入では,低圧1回注入でも病理組織像で小葉間を主体とした膠原線維の増生を伴った急性膵炎像が得られ,週1回で4回注入群ではさらにその程度が強く,注入終了後8週目においても小葉間には膠原線維が残存していた。しかしながら血清アミラ-ゼ値,血清過酸化脂質,及び膵内外分泌機能検査では異常を認めなかった。一方,週1回で4回高圧注入した群では,注入終了後16週目においても膵全体にわたり広範に膠原線維が増生し,膵の小葉は完全に結合組織によって置換されたものや,萎縮して島状に残存したものも観察された。また膵内分泌機能検査では血糖消失率,IRI共に著明に低下し,膵外分泌機能検査でも総膵液量,アミラ-ゼ排出量,最高重炭酸塩濃度共に低値を示す傾向にあった。 胆汁及びデオキシコ-ル酸の膵管内注入により以上の結果を得た。膵液惹起物質の適切な週択により,急性膵炎より慢性膵炎への移行の可能性を示唆する所見を得た。
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