研究分担者 |
小原 範之 神戸大学, 医学部, 助手 (70214210)
山崎 峰夫 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (00220301)
出口 正喜 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (70163938)
丸尾 猛 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60135811)
森川 肇 神戸大学, 医学部, 講師 (30030894)
上田 康夫 神戸大学, 医学部, 助手 (20168636)
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研究概要 |
1)cyclic AMPーAkinase系は培養絨毛癌(BeWo)細胞のhcG(α,β)分泌,生成の両者において主導的役割をにない,DGーC kinase系のhcG(α,β)分泌,生成機構において果たす意義は小さく,むしろcyclic AMPーAkinase系との協調,促進的作用が主である。他方,Ca^<2+>ーcalmodulin系は絨毛癌細胞でのhcGα分泌のみに促進的に関与し,その生成制御機構への関与は希薄である。2)正常妊婦においては,妊娠末期に大量に産生されるhPLが,腎での1.25D_3の産生を亢進させることで,母体の腸管Ca吸収能の増加に働くが,重症型PIhではこのhPL増加が十分ではないため,Ca吸収能が不十分となる。実際,PIH妊婦では正常妊婦に比べ有意に骨吸収が起こっている。3)血管平滑筋細胞内Ca濃度に影響を持つ因子としては,血中ANPや血中ETー1濃度あるいは細胞内Na濃度が正常妊婦に比べてPIH妊婦では高い。外的刺激に対するANPによる代償機構の予備力はPIH妊婦で低下している。さらに,血小板内Ca濃度を測定するとPIH妊婦では正常妊婦よりも高い。in vitroの検討では,重症PIH妊婦に見られるホルモン環境が細胞内Naや細胞内Ca濃度の上昇に寄与すると考えられる。4)中高年婦人や無月経患者,偽閉経療法実施患者についての骨密度,Ca調節代謝系やステロイド系の変動の検討により,持続的なエストロゲン低下状態が骨量の減少に関わることを示した。これにはエストロゲンの減少が骨のPTHに対する感受性を増したり,その他のカルシウム調節ホルモンを介して,骨量の減少を惹起するという機序が考えられる。なお,加令や低エストロゲンに伴う骨量の変化を表わすのには,特に海綿骨の骨代謝状態を鋭敏に示すとされているQCT法のほうがMD法に比べ適している。(ANP:心房性ナトリウム利尿ペプチド,ETー1:エンドセリンー1,PIH:妊娠高血圧症)
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