研究概要 |
近年、骨細胞生物学の進歩により骨改造過程が細胞レベルで明らかにされつつある。その中で特に注目されているのは、骨吸収過程における骨芽細胞と破骨細胞の役割を解析することである。そこで、本研究ではin vitroで骨芽細胞と破骨細胞の機能を解析することを目的として実験を行い、医科の結果を得た。 骨芽細胞の機能の解析:骨吸収過程で骨芽細胞はコラゲナ-ゼを産生し、直接骨基質を破壊している可能性があるため、種々の実験を行い次のような結果を得た。(1)ラット骨肉腫細胞であるUMR-106と我々が新生児ラット頭蓋冠より樹立した5種類のクロ-ン化骨芽細胞様細胞におけるコラゲナ-ゼ産生能をウサギ抗体ラットコラゲナ-ゼ抗体を用いて免疫組織顎的に検索した。その結果、全ての細胞がコラゲナ-ゼを産生していることが明らかとなった。(2)洗剤型で分泌されたコラゲナ-ゼの活性窩過程で重要と考えられている組織プラスミノ-ゲンアクチ-タ-の産生能を免疫組織学的に検討した結果、前述した全てのクロ-ンで産生が認められた。(3)FITC標識コラ-ゲンを用いて核クロ-ンのコラゲナ-ゼ活性を測定した。その結果、この測定法ではPTH,1,25(OH)_2D_3などの骨吸収促進物質で細胞を刺激しても有意なコラゲナ-ゼ活性の上昇が認められなかった。そのため、さらに感度の良い〔^<14>C〕標識コラ-ゲンなどを用いて検討する必要があると考えられた。(4)〔^3H〕-プロリンで標識した新生児ラット頭蓋骨より骨芽細胞を除去後、その上で核クロ-ン化細胞を培養し、〔^3H〕-プロリンの培養液中への放出を測定することにより骨基質の破壊度を検討した。その結果、1,25(OH)_2D_3は、骨基質の破壊を促進することが示唆された。 破骨細胞の役割の解析:(1)in vitroでマウス骨髄細胞より公立よく破骨細胞様細胞を形成できる系を樹立した。(2)この系を用いて、1,25(H)_2D_3,PTH,1L-1,PGE_2などは破骨細胞形成を促進し、calcitonin,interferon γなどは破骨細胞形成を抑制することを明らかにした。(3)マウス脾細胞と新生児マウス頭蓋骨より分離した骨細胞様細胞を1,25(OH)_2D_3とデキサメサゾン存在したで共培養すると、破骨細胞様細胞が形成されることを見い出した。この場合、破骨細胞様細胞の形成には骨芽細胞の存在が重要であることも明らかにした。
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