研究課題/領域番号 |
63480442
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科・放射線系歯学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上田 実 名古屋大学, 医学部, 講師 (00151803)
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研究分担者 |
佐々木 真一 名古屋大学, 医学部, 医員
江幡 晃治 名古屋大学, 医学部, 助手 (10203647)
角 保徳 名古屋大学, 医学部, 助手 (30187801)
嶋 隆義 名古屋大学, 医学部, 助手
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1989年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1988年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | 口腔再建 / 人工粘膜 / 粘膜移植 / 細胞培養 / 再構成粘膜 / コラーゲン / 臨床応用 |
研究概要 |
ヒト粘膜細胞を培養し、これらを用いて粘膜組織を再構築することとその移植方法を確立することが本研究の目的である。すでに動物実験によって確立された方法によって培養人工粘膜を再構築した。はじめに患者より採取した粘膜小片より線維芽細胞を分離し、これをコラ-ゲンゲル内で培養して粘膜固有層モデルを作成した。この場合、移植に耐える強度の構造を獲得するために細胞数を1×10^6、コラ-ゲン濃度を17%とした。その結果、ヒト正常粘膜と同様の構造をもった移植可能な培養人工粘膜を作成することができた。培養人工粘膜の安全性確認のために、使用する細胞のエア-ドライ法による染色体検査を行った。その結果、数カ月以内のヒト培養細胞では染色体の異常は認められなかった。培養人工粘膜の移植に際しては、移植後の感染防御と乾燥防止が重要であった。感染防御のためには術後の全身的な抗生物質の投与と、局所的には徐放性抗生物質含有軟膏を投与した。一方、乾燥防止のためにはワセリン軟膏及びコラ-ゲン膜を用いた。これによって培養人工粘膜はヒト口腔内においても安全、確実に生着させうることが明らかになった。培養人工粘膜の移植時期に関しては、組織構造が完成する時期とし、基底膜の形成時期を指標に評価した。その結果、上皮培養後4週に基底膜が完成することが明らかになり、その時期に組織構造が完成するものと考えられた。以上の研究成果をもとに名古屋大学医学部附属病院において3例の培養人工粘膜の移植手術を行った。患者の年齢は57歳、28歳、61歳であった。原疾患は口蓋腫瘍、口腔前庭狭窄症、歯肉腫瘍であった。移植後の経過は良好で前例生着した。これらの研究を通じた培養人工粘膜の臨床応用に関する基礎的資料はおおむね揃えられたものと考える。
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