研究課題/領域番号 |
63480443
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科・放射線系歯学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
白砂 兼光 大阪大学, 歯学部, 助教授 (30093420)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1988年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | 唾液腺 / 唾液腺腫瘍 / 細胞分化 / 細胞増殖 / 成長因子 / 分化誘導 / 癌治療 / 細胞増殖と細胞分化 / 増殖因子 / 増殖因子・分化誘導 |
研究概要 |
ヒト唾液由来癌細胞の生物学的性状を解析し、その増殖・分化なとの癌細胞の特性から考えた新しい治療法への指針を与えることを目的として、本研究を行った。本実験に用いたHSG細胞株は造腫瘍性株でありヌ-ドマウス移植にて腺癌を形成し、in vitroで介在部導管細胞形態を示す。介在部導管細胞は唾液腺腫瘍の幹細胞と考えられているので本細胞が分化の多能性をもつか否かについて検討した。その結果、本細胞は培養条件の変化やdibutyryl c-AMPやグルココルチコイドなどの分化誘導剤の添加によって筋上皮様細胞や高分化導管細胞など種々の細胞に分化し、これらの分化誘導に伴って細胞増殖や腫瘍原性は著明に低下するとこが分かった。なお、分化誘導剤投与による分化誘導と増殖抑制効果はin vitroにおいてもみられた。さらに、無血清培養系を用いた結果、HSG細胞増殖の調節機構に内因性のEGFやbeta-TGFが関与していることが示唆された。また、HSGの分化誘導は正常ヒト線維芽細胞との混合培養においてもみられた。すなわち線維芽細胞はHSGの増殖を抑制し、分化を誘導する因子を産生しており、その因子は分子量4-5万のタンパクで、EGFやTGFsなど既知の増殖因子と異なる物質と思われた。HSG培養系で得られた以上の結果は唾液腺腫瘍における分化誘導療法の可能性を示唆している。これを現実なものにするためにはHSG細胞以外の細胞特性を解析を含む細胞の増殖や分化誘導をの調節機構を明らかにし、さらにin vivoでのデ-タをも蓄積する必要がある。この目的のために、最近分離したヒト腺様嚢胞癌細胞株ACCSとACCYをも用いて現在研究を行っている。なお、ACCSとACCYはHSGとは異なり筋上皮様細胞でin vitroにおいてきて基底膜物質やGAGなどの細胞外基質を多量に産生する能力を有し、細胞外基質と癌の浸潤性増殖との関係を解析する上にも興味ある細胞である。
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