配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1990年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1989年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1988年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
|
研究概要 |
体液量・循環調節に重要な役割を果たしている心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の作用機構を分子レベルで解明するために,その作用発現の上で要となっている受容体の生化学的・分子生物学的研究を行い以下の成果を得た.(1)ANP受容体をウシ肺より精製することに成功し、蛋白化学的諸性質を明らかにした.(2)抗体を作製し,しれを用いて受容体のサブタイプや局在部位を明らかにした.臓器によってサプタイプの分布が大きく異なること,及び免疫組識化学的に腎臓では糸球体のポドサイトにANP受容体が多く局在することが明らかになり、ANPの作用を理解する上で大きな手掛りが得られた.(3)ANP受容体の生合の成過程を明らかにした.(4)ANPの情報伝達機構を受容体に対する抗体やRadiation Inactivation Inactivation法を用いて解析し,新しいモデルすなわち解離活性化機構を提唱した.(5)動脈と静脈ではANP受容体のサブタイプが異なること,さらに動脈の細胞を培養系に移すと静脈型に変わるというサブタイプスイッチング現象を見い出した.サブタイプの存在意義を究明する上で重要な発見と言えよう.(6)血管内皮細胞上に存在するANP受容体の役割は不明であったが,NaーKーC1 共輸送系の機能を細胞内のcGMP濃度を介して間接的に調節していることを明らかにした.(7)ANP受容体のうちC型はホモダイマ-構造を有するが,A型とB型も単量体ではなく,4量体として働いている可能性が強いことを示した.(8)ANP受容体(C型)の遺伝子構造を決定し,エクソンとイントロンの配置を明らかにした.全長85Kb以上で8個のエクソンから成っていた.リガンド結合部位は第一エクソンによって,膜結合部位と細胞質部位はそれぞれ第7と第8エクソンによってコ-ドされており,ドメイン構造とエクソン構造がよく対応していた.A型受容体遺伝子とも類似しており,ANP受容体遺伝子の進化の観点からも興味深い結果である.
|