研究概要 |
1.精製したTn3トランスポゼ-スによるDNA欠失形成のin vitro系を確立した。これはトランスポゼ-スの他、IHF蛋白を含む反応系である。但し、in vivo反応にみられる欠失末端の塩基配列についての特異性がみられなかった(Proc.Japan Acad.,65 Ser.B,1ー4,1989)。反応産物の塩基配列決定を多数の分子について行った結果、欠失の大部分は短い相同的配列間で生じていることが判明した(関医大教養部紀要,13号,印刷中)。 2.他方、in vivoにおいてHUとIHF蛋白の関与の有無を、突然変異体を用いて検索した結果、意外にも、HU,IHFのどちらも、in vivoで不要と判明した(Gene,76,359ー362,1989;J.Kansai Med.Univ.Suppl.,41,79ー86,1989)。また、DNA polymerase Iのポリメラ-ゼ活性または5'ー3'エキソヌクレア-ゼ活性を欠くそれぞれの突然変異体を用いて、この蛋白のin vivoでのTn3トランスポゼ-スによるDNA再編成反応に対する影響を調べた。ポリメラ-ゼ活性については、Tn3の宿主染色体への転移反応には必ずしも必要でないこと、5'ー3'エキソヌクレア-ゼ活性についてはDNA欠失形成反応には不必要なことが示された(関医大教養部紀要,12号,3ー8,1989)。 3.トランスポゼ-スがス-パ-ヘリカルDNAに優先的に結合すること(関医大教養部紀要,13号、印刷中)並びにトランスポゼ-スとDNAの特異的結合と非特異的結合が異なるモノクロ-ナル抗体で阻害されること(投稿準備中)を見いだした。 4.Tn3トランスポゼ-スの関与するらしい反応で、今までに知られていないタイプの興味あるDNA再編成即ち"staggred headーtoーhead dimer"の形成が起こることが判明した(投稿準備中)。 5.Tn3トランスポゼ-ス遺伝子中にIS4の挿入されたミュ-タントを発見、その挿入部位の塩基配列を決定し、その特異性について新しい知見を得た(Gene,96,129ー132,1990)。 6.方法面での貢献として、ポリエチレングリコ-ルによる形質転換法の改良(Nucleic Acids Res.,18,61691990)、ヘキスト33342の蛍光による高感度DNA定量法(Hitachi Scientific Instrument News,34(1),印刷中)などを発表した。
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