研究課題/領域番号 |
63490007
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山上 皓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (60107315)
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研究分担者 |
峰下 哲 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (00014358)
石井 利文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00143610)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
500千円 (直接経費: 500千円)
1989年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 精神病 / 精神分裂病 / 犯罪 / 殺人 / 放火 / 暴力 / 再犯 / 保安処分 / 自殺 / 精神障害 / 精神障害犯罪者 / 再犯予測 |
研究概要 |
重大な犯罪を犯した精神分裂病者320例を、事件記録に基づいて調査し、犯行の要因の分析と犯罪予防策についての検討を試みたが、その成果の概要は、次の通りである。 1.同居家族がいながら治療を受けられずに犯行に及ぶものが多いが、家族の無理解や患者の拒否が問題となる。 2.単身で生活し、強い再犯傾向を示す一群の者達が、強盗と傷害犯及び殺人犯の一部に認められる。 3.頻回の逮捕歴を有する危険な患者は、総数の10%程度を占めるが、彼らは、犯罪生活歴の違いによって、“人格主導型"と、“疾病主導型"の二群に分けられる。犯罪予防策を考える場合、後者は現行の医療体制の拡充によって防止可能と思われるのに対し、人格要因が主役を演じる前者についてはそれでは限界がある。 4.入院中の犯行例においては、医療者の注意の不足や医療体制の不備によるものが少なくない。頻回の暴力犯罪を繰り返してきた2例については、むしろ、一般の患者と一緒に収容すること自体に問題があると言える。 5.不起訴処分を受けて精神病院に収容された事例の多くが、比較的短い期間で退院している。医療上の決定が、再犯危険性をしばしば無視して為されることも、再犯率を高める要因の一つとなっている。 6.再犯要因としては、(1)問題行動の反復(前歴、暴力傾向)、(2)治療上の障害(難治性、処遇困難性、易医療中断性)、(3)反社会的人格特徴、(4)環境不全(職・住の不全、家族関係の希薄さ)の八要因が重要である。 7.医療の枠組みの中での改善策として、地域に設置する 「集中治療病棟」を核とし、これを「地域・ケア施設ネットワ-ク」と「専門病院」とが補う、三層の管理構造を基本とする案を提出した。しかし、犯罪を頻回反復する一部の事例については、医療の枠内での対応には限界があり、保安処分制度の必要性についても指摘した。
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