研究概要 |
ほとんど完全に近い単結晶の結晶完全性をペンデル振動を測定して靜的デバイクラ-因子で評価する実験を試みた。ペンデル振動を測定するために結晶傾斜法が用いられた。半絶縁性の液体封止引き上げ(LEC)および水平ブリジマン(HB)GaAs結晶の結晶完全性が評価された.得られた実験結果を総括すると次のようになる. 1.asーgrownおよび三段熱処理したLEC結晶を比較して,靜的デバイクラ-因子は前者が後者より僅かに小さな値を示した。すなわち,三段熱処理結晶はasーgrown結晶より結晶完全性が優れていることが分った。 2.HB結晶で転位密度をゼロから1×10^4cm^<-2>の範囲で変化させたが,靜的デバイクラ-因子はほとんど変化しなかった。 3.転位密度2.5×10^4cm^<-2>のLEC asーgrown結晶とSiを2×10^<18>cm^<-3>および0〜1×10^4cm^<-2>の転位を含んだHB asーgrown結晶とを比較して,靜的デバイクラ-因子に差は認められなかった。 4.結晶傾斜法による実験を熱処理した引き上げシリコン結晶でも実行した。実験結果を統計的動力学理論を用いて解析し,靜的デバイクラ-因子および相関距離を決定した。この靜的デバイクラ-因子はセクショントポグラフのペンデル縞から求めた値と一致した。 5.GaAs結晶のX線トポグラフ法による観察も同時に行なわれ,転位と不純物・点欠陥の相互作用を示す証拠が得られた。 6.結晶傾斜法で必要な1/μ程度の試料厚さを得るために,GaAs結晶を化学エッチで薄片化する装置を作成した。(μはX線に対する吸収係数)これを用いて,0.3mm厚さの結晶板の中央に直径16mm,厚さ50〜60μmの薄片部(厚さバラツキ土1μm以上)をもつ試料を作る技術を開発した。
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