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古墳から出土する青銅遺物に見られるブロンズ病の成囚と劣化防止に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 63490024
研究種目

一般研究(B)

配分区分補助金
研究分野 広領域
研究機関奈良国立文化財研究所

研究代表者

肥塚 隆保  奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター・研究指導部, 主任研究官 (10099955)

研究期間 (年度) 1988 – 1989
研究課題ステータス 完了 (1989年度)
配分額 *注記
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1988年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
キーワードブロンズ病 / 塩化物イオン / 青銅製遺物 / 緑青 / 緑塩銅鉱 / 防錆処置 / 減圧個浸 / アクリル樹脂 / 塩基性塩化銅 / 遺物 / 青銅
研究概要

古墳から出土する青銅(銅合金)製遺物の多くは、緑青(塩基性炭酸銅)に覆われている。これは密閉された環境にあるため二酸化炭素含有量と水分が多いためであると推定できる。実際に密閉された古墳には、外気の6倍程度の二酸化炭素が検出した。また、水に含まれる塩化物イオンは特例を除き十数ppmから数十ppmであった。また、遺物が埋蔵している土壌中には海岸などの特別な地域を除き数ppm程度しか塩化物イオンは含有していない。しかし、古墳から出土する青銅製遺物の多数から、量の小はあっても緑塩銅鉱を検出しており、塩化物イオンの影響を受けたことが判明している。遺物の表面を覆うさびには数%の塩素が含有していることがあり、長時間にわたり濃縮されたと推定できる。
一方、水分はあっても粘度に完全に覆われて還元状態にあった遺物の合は、緑塩銅鉱を検出せず良好な状態で出土する。調査の結果、塩化物イオンがあり、かつ酸化状態におかれていた遺物の場合は、確実にブロンズ病(内部での腐食を進行させ、スポット状の白緑色を呈するさびを生成する)が発生している。
銅、錫、鉛を主成分とする青銅は、ブロンズ病により大きく腐食すると大半が溶出し、錫や鉛が残存することも判明した。
これらの遺物の保存処理は、さびの除去と防錆処置および強化処置を行なう必要がある。従来さびの除去は機械的、物理的手法により行なわれていたが、今回新しく、高吸水性樹脂とぎ酸水溶液を使用する方法を開発し、鑛金製品にも実用化した。防錆および強化処置は、ベンゾトリアゾ-ルによる防錆皮膜形成とアクリル樹脂を減圧含浸する方法が最も現実的かつ効果的であった。電気分解による還元法により塩化物を除去する方法は効果的であるが、遺物の色調が大きく変化するため、実施できない。

報告書

(2件)
  • 1989 実績報告書
  • 1988 実績報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 肥塚隆保: "金銅製遺物緑青さびの除去法" 日本文化財科学会第6回大会研究発表要旨. (1989)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 肥塚隆保: "青銅鏡の材質調査と保存処理" 岡古墳ー古市古墳群の調査報告Iー. 107-110 (1989)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 沢田正昭,肥塚隆保: "広峯15号墳出土景初四年銘盤龍鏡の分析" 駅南地区発堀調査報告書. 68-73 (1989)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書

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公開日: 1988-04-01   更新日: 2016-04-21  

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