研究課題/領域番号 |
63510004
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木曾 好能 京都大学, 文学部, 教授 (40025060)
|
研究期間 (年度) |
1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1988年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 心身二側面説 / 心的事象 / 心身同一説 / 内的体験 / 機能主義 / 消去的唯物論 / タイプ・タイプ同一性 |
研究概要 |
本研究は、心的活動と身体及び悩の神経生理的状態とを同一の事象であるとする心身同一説を採りつつ、心的活動の内的体験の側面とその外的身体的神経生理的側面とを、たがいに他方に還元できない、単一の心的活動の二側面であるとする、心身二側面説の妥当性を、哲学的に明らかにすることを目指した。その結果以下のような知見が得られた。 1.心身二側面説の困難とされる内的体験的側面の存在論的な地位については、心身事象の内的体験的側面は、心的事象がそれの主体である本人に現われる際の透視条件(パースペクティヴ)であると考えられる。外的事象も心的事象も、それを認識する主体には、その認識の抽象的側面としての透視条件を伴なって、認識されるのである。 2.二側面説に対立する機能主義及び消去的唯物論について、 (1)機能主義は、或る種類の心的事象の外的側面が必ずしもタイプとして一義的に決定されるとは限らないという可能性から、心的事象がそれの因果的機能によって定義されると主張するのであるが、内的側面のタイプに見合った外的側面のタイプ、外的側面のタイプに見合った内的側面のタイプ、を求めることが、発見的方法の観点から見て、より単純であり、より適切であると考えられる。 (2)消去的唯物論は、常識的な心理的諸概念が前提する心理学的理論が、より優れた科学的理論によってとって替わられ得る、と主張するが、常識的心理学の主要概念である「信念」と「欲求」という概念が前提する心理学的理論が、時代の相違を超えて理解可能であり、時代によって変わってはいないと考えられるということは、自然科学の進歩にもかかわらず我々の常識的心理学の主要部分の妥当性が今後も変化しないという可能性を、示唆すると考えられる。
|