研究課題/領域番号 |
63510022
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
宗教学
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
植島 啓司 関西大学, 文学部, 助教授 (90140243)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1988年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 悪魔祓い / トランス / バリ・ヒンドゥ / サンギャン / バロン・ダンス / 宗教音楽 / ガムラン / 映像人類学 / G・ベイトソン / W・シュピース / 舞踊 / 生態系 / 少女を神に祀る風習 |
研究概要 |
これまでのインドネシア・バリ島を中心にした四度の予備調査で収集した資料を分類整理して、今年度は「サンギャン」という悪魔祓いの儀礼が現在どのように分布し実施されているかをマッピングして示すことに研究の焦点が置かれた。その成果は論文「インドネシア・バリ島における悪魔祓いの儀礼」(『関西大学文学論集』)に掲載される予定である。これまでの資料を検討した結果、バリ島東部カランガゼム地域の再調査が必要とわかり、1988年7月に大学院生らとともに三週間ほど滞在し、特にビデオ・フィルム、写真、スライド、音楽テープなどの視覚資料の充実をはかった。帰国後、それらの資料を整理しつつ、研究発表を組織し、バリ島の宗教儀礼の中心とされているチャロナラン、バロン・ダンスからトペン、ワヤン・クリに至るまでを比較研究した。そこで討議された問題点は以下の通りである。(1)サンギャンとバロン・ダンスの分布地域はほとんど重ならない。(2)バロン・ダンスは予想したほど広範には分布せず、とりわけギアニャール地域に偏って分布している。(3)サンギャンは特にカランガゼム、スラット地域に見出されるものの、一部はギアニャール地域をはさんだ逆側の地域にも見られた。(4)バロン・ダンスは1930年代再編成されて現在の形となったが、それ以前のものはサンギャンと多くの共通点を持つ。 以上の問題点から、サンギャンがバリ島の悪魔祓いの儀礼の基底的な要素を持つことが一方で示され、さらに、他方でバロン・ダンスの原型とも結びつく要素があることが明らかにされた。これまでほとんど問題にされなかったサンギャンの重要性は今後ますます強調されることになるだろう。映像資料による民族誌という比較的新しい試みとともに、今後ともサンギャンの地域別報告などさらなる研究を続けていきたいと思っている。
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